ファンタジストデータベース
古今東西の物語作品の台帳です。作品の事実情報(作者・年・国・媒体)と、 その作品が使っている物語の型(辞典)へのひも付けを持ちます。 現在253作品。確かな事実だけを載せ、少しずつ増やしていきます。
媒体別
- 小説116
- 漫画65
- 映画34
- その他15
- ゲーム15
- アニメ8
世紀別
作品一覧(年代順)
- 900小説日本
竹取物語
作者未詳
竹の中から見出されたかぐや姫が、貴公子たちの求婚を難題で退け、帝の想いも受けぬまま月へ帰る物語。成立年・作者ともに不詳だが、9世紀末から10世紀頃の成立とされ、現存する日本最古の物語とされる。
- 1001その他日本
枕草子
清少納言
一条天皇の中宮定子に仕えた作者が、宮廷生活の見聞、四季の美、ものづくしの列挙を約三百段に書き留めた随筆。成立は1001年頃とされ、源氏物語と並ぶ平安文学の双璧として位置づけられる。
- 1008小説日本
源氏物語
紫式部
平安中期の宮廷を舞台に、光源氏の恋愛と栄華、そしてその子孫の世代までを描く長編物語。五十四帖にわたる構成で人物の内面と時間の推移を丹念に追い、世界最古級の長編小説の一つとして位置づけられている。
- 1212その他日本
方丈記
鴨長明
大火・辻風・遷都・飢饉・地震という五つの災厄の記録と、世を捨てて山中の方丈の庵に暮らす日々の記述からなる随筆。無常観を簡潔な和漢混淆文で結晶させ、日本の随筆文学の古典として読み継がれる。
- 1240小説日本
平家物語
作者未詳
平氏一門の栄華と滅亡を、源平の争乱を軸に描く軍記物語。琵琶法師の語りによって広まり、無常観を基調とする語り口は日本の物語の感性に深い影響を残した。
- 1331その他日本
徒然草
兼好法師
序段と243段からなる随筆集。人の心の機微、有職の知識、無常の思索、失敗譚まで、長短さまざまな断章を並べ、観察と批評の文学として後世に大きな影響を与えた。成立は1330年前後とされる。
- 1522小説中国
三国志演義
羅貫中(伝)
後漢末の乱世から三国の鼎立、晋による統一までを、劉備・関羽・張飛の結義や諸葛亮の智謀を軸に描く長編歴史小説。史書『三国志』を基に講談の蓄積を集成したもので、現存最古のまとまった刊本は1522年。
- 1592小説中国
西遊記
呉承恩(伝)
三蔵法師が孫悟空・猪八戒・沙悟浄を供に、経典を求めて天竺への旅を続ける長編。妖怪との対決を重ねる挿話の連なりと、罪を負った者たちが旅を通じて救われる枠組みを持つ、中国四大奇書の一つ。
- 1597小説イギリス
ロミオとジュリエット
ウィリアム・シェイクスピア
敵対する二つの名家に生まれた若い恋人たちが、憎悪の連鎖の中で急速に惹かれ合い、破局へ向かっていく悲劇。恋愛悲劇の原型として、演劇・小説・映画に数え切れない翻案を生み出してきた。
- 1601その他イギリス
ハムレット
ウィリアム・シェイクスピア
父王の亡霊から叔父による毒殺を告げられたデンマーク王子ハムレットが、復讐の義務と懐疑の間で引き裂かれていく悲劇。1600年前後に初演されたとされ、世界で最も上演・引用される戯曲となった。
- 1605–1615小説スペイン
ドン・キホーテ
ミゲル・デ・セルバンテス
騎士道物語を読みすぎて自らを遍歴の騎士と思い込んだ郷士が、従者サンチョ・パンサを連れて旅に出る長編。虚構と現実のずれを主題化した構成から、近代小説の出発点としてしばしば挙げられる。
- 1702その他日本
おくのほそ道
松尾芭蕉
1689年に江戸を発ち、東北・北陸の歌枕を巡って大垣に至る約150日の旅を、俳句と散文で綴った紀行文。実際の旅を文学として再構成した紀行の最高峰で、没後の1702年に刊行された。
- 1774小説ドイツ
若きウェルテルの悩み
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
婚約者のいる女性ロッテへの叶わぬ恋に苦しむ青年ウェルテルが、友人への手紙で心情を綴り、絶望の果てに自ら命を絶つ書簡体小説。全欧に熱狂を巻き起こし、ゲーテの名を一夜にして高めた。
- 1776その他日本
画図百鬼夜行
鳥山石燕
伝承や語りの中にしか存在しなかった妖怪たちを、絵師鳥山石燕が一体ずつ絵に描き、名を添えて並べた妖怪画集。安永五年にあたる1776年に前篇の陰・陽・風の三巻が刊行され、後の妖怪図像の下敷きとなった。
- 1776小説日本
雨月物語
上田秋成
中国の白話小説や日本の古典を素材に、亡霊・執念・異類との遭遇を描く九編からなる怪異短編集。約束を守るため霊となって戻る友、待ち続けた妻の亡霊など、情念を格調高い雅文で描き怪異文学の頂点とされる。
- 1802–1814小説日本
東海道中膝栗毛
十返舎一九
江戸の弥次郎兵衛と喜多八が東海道を上方へ旅し、行く先々で失敗と悪ふざけを重ねる滑稽本。1802年から続編を重ねて大当たりし、「弥次喜多」の名を旅する二人組の代名詞にした江戸戯作の代表作。
- 1808–1832小説ドイツ
ファウスト
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
あらゆる学問を究めて絶望した老学者ファウストが、悪魔メフィストフェレスと魂を賭けた契約を結び、若返って愛と権力と美を遍歴する詩劇。第一部1808年、第二部は作者の死の直後1832年に刊行された。
- 1813小説イギリス
高慢と偏見
ジェーン・オースティン
地方の中流家庭の次女エリザベスと、富裕だが高慢に見える紳士ダーシーが、誤解と偏見を解きほぐしながら互いを見直していく長編。結婚と階級をめぐる社会観察と恋愛小説を結合した古典である。
- 1814–1842小説日本
南総里見八犬伝
曲亭馬琴
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の玉を持って生まれた八人の犬士が、因縁に導かれて出会い、里見家再興のために集結する長編伝奇。28年をかけて完成した全98巻106冊は、江戸読本の最高峰とされる。
- 1818小説イギリス
フランケンシュタイン
メアリー・シェリー
生命の創造に成功した科学者ヴィクター・フランケンシュタインと、彼に造られながら見捨てられた存在との相克を描く長編。科学の倫理を問う物語の原型であり、SFの先駆としても位置づけられる。
- 1837小説デンマーク
人魚姫
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
海の底に暮らす人魚姫が、嵐から救った王子への恋のために声と引き換えに人間の足を得るが、想いは届かず、王子を刺すことも選べずに泡となる童話。報われない愛と自己犠牲を描く創作童話の頂点。
- 1841小説アメリカ
モルグ街の殺人
エドガー・アラン・ポー
パリのモルグ街で起きた母娘惨殺事件の不可解な謎を、隠棲する青年デュパンが新聞記事と観察だけから解き明かす短編。世界最初の推理小説とされ、名探偵と語り手の相棒という形式をここで発明した。
- 1843小説イギリス
クリスマス・キャロル
チャールズ・ディケンズ
守銭奴の老人スクルージがクリスマスの夜、過去・現在・未来の精霊に導かれて自分の人生を見せられ、一夜にして生き方を改める中編。改心の物語の原型として、あらゆる媒体で翻案され続けている。
- 1844–1846小説フランス
モンテ・クリスト伯
アレクサンドル・デュマ
婚礼の日に無実の罪で投獄された船乗りエドモン・ダンテスが、脱獄と巨万の富を経て別人として社会に戻り、自分を陥れた者たちへの復讐を進めていく長編。復讐譚の型を完成させた新聞連載小説の代表作。
- 1847小説イギリス
ジェーン・エア
シャーロット・ブロンテ
孤児として育った家庭教師ジェーンが、屋敷の主ロチェスターと惹かれ合うが、彼の屋敷には隠された秘密があった。自尊心を貫く女性の一人称の語りで、恋愛小説とゴシック小説を統合した古典。
- 1847小説イギリス
嵐が丘
エミリー・ブロンテ
ヨークシャーの荒野の屋敷を舞台に、拾われ子ヒースクリフとキャサリンの激しい愛と、身分の壁が生んだ復讐が二世代にわたって展開する長編。著者唯一の長編小説にして、英文学屈指の問題作とされる。
- 1851小説アメリカ
白鯨
ハーマン・メルヴィル
片脚を奪った白い巨鯨への復讐に取り憑かれたエイハブ船長の捕鯨船に乗り込んだ青年イシュメールの目から、破滅へ向かう航海を描く長編。捕鯨の百科全書的な記述と悲劇を融合したアメリカ文学の金字塔。
- 1857小説フランス
ボヴァリー夫人
ギュスターヴ・フローベール
田舎医師の妻エンマが、小説で夢見たような恋と贅沢を現実に求めて不倫と借金を重ね、破滅していく長編。作者の徹底した客観描写の方法とともに、近代リアリズム小説の出発点とされる。
- 1862小説フランス
レ・ミゼラブル
ヴィクトル・ユゴー
一片のパンを盗んで長い徒刑を科されたジャン・ヴァルジャンが、出所後に別人として生き直し、孤児コゼットを育てながら執拗な追跡者と対峙していく長編。19世紀フランス社会の全体を描き込んだ大河小説の代表作。
- 1865小説イギリス
不思議の国のアリス
ルイス・キャロル
白ウサギを追って穴に落ちた少女アリスが、体の大きさが変わる薬や気まぐれな住人たちの論理に翻弄されながら異世界を巡る童話。言葉遊びとナンセンスの豊かさで、児童文学と実験文学の双方に影響を与えた。
- 1865–1869小説ロシア
戦争と平和
レフ・トルストイ
ナポレオン戦争期のロシアを舞台に、貴族の若者たちの恋愛と成長、そして戦場と社交界の双方を描く大長編。数百人の登場人物を配しながら個人の実感を手放さない筆致で、長編小説の到達点とされる。
- 1866小説ロシア
罪と罰
フョードル・ドストエフスキー
貧困の中で独自の理論を組み立てた元学生ラスコーリニコフが、金貸しの老女を殺害し、その後の意識の分裂と人々との対話の中で崩れていく過程を描く長編。心理小説と思想小説を結合した近代文学の代表作。
- 1868小説アメリカ
若草物語
ルイザ・メイ・オルコット
南北戦争で父が従軍する中、メグ・ジョー・ベス・エイミーの四姉妹が母を支えに助け合い、それぞれの夢と欠点に向き合いながら成長する物語。作家を志す次女ジョーの造形で、少女文学の原点となった。
- 1870小説フランス
海底二万里
ジュール・ヴェルヌ
謎の海の怪物の正体である潜水艦ノーチラス号に収容された博物学者アロナクスらが、謎めいたネモ船長とともに世界の海を巡る冒険小説。科学的空想と冒険を融合させたSFの父ヴェルヌの代表作。
- 1875–1877小説ロシア
アンナ・カレーニナ
レフ・トルストイ
高官の妻アンナが青年将校ヴロンスキーとの恋に身を投じ、社交界から孤立していく悲劇と、地主リョーヴィンが結婚と労働に生の意味を探す物語を並走させる長編。心理描写の精密さで写実小説の頂点とされる。
- 1876小説アメリカ
トム・ソーヤーの冒険
マーク・トウェイン
ミシシッピ川沿いの町を舞台に、腕白少年トムが親友ハックらと繰り広げるいたずらと冒険、そして殺人事件の目撃と宝探しを描く長編。アメリカの少年時代を活写した児童文学の古典。
- 1879–1880小説ロシア
カラマーゾフの兄弟
フョードル・ドストエフスキー
強欲な父フョードルの殺害をめぐり、情熱の長男、無神論の次男、修道僧の三男というカラマーゾフ家の兄弟たちの運命が交錯する長編。信仰と自由をめぐる思想小説と犯罪小説を融合した世界文学の最高峰。
- 1881–1883小説イタリア
ピノッキオの冒険
カルロ・コッローディ
木彫りの職人ジェッペットが作った操り人形ピノッキオが、嘘をつくと鼻が伸びる体を抱えたまま放浪し、人間の子どもになるまでを描く物語。1881年に新聞連載として始まり、1883年に単行本としてまとめられた。
- 1883小説イギリス
宝島
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
宿屋の息子ジムが手に入れた海賊の宝の地図をめぐり、一本足の料理番シルバーら海賊たちとの航海と争奪戦が繰り広げられる冒険小説。宝の地図・海賊像など、冒険物語の道具立ての多くを決定づけた。
- 1886小説イギリス
ジーキル博士とハイド氏
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
高潔な紳士ジーキル博士と、ロンドンの闇で凶行を重ねる醜怪な小男ハイドの関係の謎を、弁護士アタスンが追う中編。一人の人間の中の善と悪の分離という着想で、二重人格ものの原点となった。
- 1890小説イギリス
ドリアン・グレイの肖像
オスカー・ワイルド
美貌の青年ドリアンが、自分の代わりに肖像画が老いればよいと願ったことから、堕落の刻印をすべて絵に引き受けさせて若さのまま生きる長編。美と倫理をめぐる唯美主義の代表作にして、著者唯一の長編小説。
- 1890小説日本
舞姫
森鴎外
ベルリンに官費留学した青年太田豊太郎が、踊り子エリスと恋に落ちながら、立身の道と愛の間で引き裂かれる短編。雅文体で書かれた告白の形式を持ち、日本近代文学の出発点の一つとされる。
- 1891–1892小説イギリス
シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
私立探偵シャーロック・ホームズと医師ワトソンが、持ち込まれるさまざまな謎を解いていく連作短編集。雑誌連載で絶大な人気を確立し、探偵小説という形式を大衆的な物語の型として定着させた。
- 1895小説日本
たけくらべ
樋口一葉
吉原に隣接する下町を舞台に、遊女の妹・美登利と僧侶の子・信如ら子どもたちの誇りと淡い想いが、大人の世界に取り込まれる直前の一瞬として描かれる中編。1895年から翌年にかけて発表された。
- 1895小説イギリス
タイム・マシン
H・G・ウェルズ
時間旅行機械を発明した科学者が80万年後の世界へ赴き、地上の優美なエロイと地下の醜怪なモーロックに分岐した人類の末路を目撃する中編。時間旅行というSFの根幹の道具立てを確立した記念碑的作品。
- 1897小説アイルランド
吸血鬼ドラキュラ
ブラム・ストーカー
トランシルヴァニアの古城に住む伯爵がロンドンへ渡り、若い弁護士や医師たちが犠牲者を出しながら追い詰めていく長編。日記や手紙の集積で語られる書簡体の構成を持ち、吸血鬼像の事実上の標準を作った。
- 1897–1902小説日本
金色夜叉
尾崎紅葉
許嫁の宮を富豪に奪われた貫一が、愛を捨てた世間への復讐として高利貸しになる長編。熱海の海岸の別離の場面はあまりに有名で、連載は作者の死により未完のまま国民的な人気を博した。
- 1900小説アメリカ
オズの魔法使い
ライマン・フランク・ボーム
竜巻でオズの国へ飛ばされた少女ドロシーが、家へ帰るためエメラルドの都を目指す物語。道中で脳のない案山子、心臓のないブリキの木こり、勇気のない臆病ライオンが加わり、四人と一匹の旅になる。
- 1902その他イギリス
ピーターラビットのおはなし
ビアトリクス・ポター
母の言いつけを破ってマグレガーさんの畑に忍び込んだ子うさぎピーターが、上着を失いながら命からがら逃げ帰る絵本。1901年の私家版を経て1902年に出版され、以後多くの続篇が描かれた。
- 1905小説フランス
怪盗紳士ルパン
モーリス・ルブラン
変装の名人にして紳士の泥棒アルセーヌ・ルパンが、警察を翻弄しながら鮮やかな盗みを重ねる連作短編。1905年の雑誌掲載で登場し、義賊的な怪盗というキャラクターの型を世界に定着させた。
- 1905–1906小説日本
吾輩は猫である
夏目漱石
名前のない猫の視点から、飼い主の中学教師とその周囲に集う人々の暮らしと会話を眺めて綴る長編。人間社会を外側から観察する語りの仕掛けを備え、日本の近代小説の出発点の一つとなった。
- 1906小説日本
坊っちゃん
夏目漱石
江戸っ子気質の青年教師が四国の中学校に赴任し、俗物的な教頭らの策謀に真っ向からぶつかっていく中編。歯切れのよい一人称の語りと痛快な筋立てで、日本近代文学の中でも最も広く読まれてきた一冊。
- 1906小説日本
破戒
島崎藤村
被差別部落出身であることを隠せという父の戒めを守って教師として生きる瀬川丑松が、出自を公にして闘う先輩の生き方に揺さぶられ、告白へ向かう長編。日本自然主義文学の出発点とされる。
- 1906小説ドイツ
車輪の下
ヘルマン・ヘッセ
神学校の難関試験に合格した秀才少年ハンスが、詰め込み教育と周囲の期待に押し潰され、学校を去り故郷でも居場所を失っていく長編。教育制度が子どもを轢いていく様を描き、日本でも長く読み継がれてきた。
- 1908小説カナダ
赤毛のアン
L・M・モンゴメリ
男の子を引き取るつもりだった老兄妹のもとへ手違いで送られてきた赤毛の孤児アンが、豊かな想像力と失敗を重ねながらグリーン・ゲイブルズの家族と村に受け入れられていく物語。世界中で愛される成長譚。
- 1908小説日本
三四郎
夏目漱石
熊本から上京した青年三四郎が、大学と東京という新しい世界、そして謎めいた女性美禰子に出会い、戸惑いながら大人になっていく長編。青春小説という形式を日本に定着させた前期三部作の第一作。
- 1910小説フランス
オペラ座の怪人
ガストン・ルルー
パリのオペラ座の地下に潜む醜い天才音楽家エリックが、歌姫クリスティーヌに音楽の天使として近づき、執着を深めていく怪奇恋愛小説。劇場の伝説を下敷きにした物語は、舞台ミュージカルで世界的に定着した。
- 1914小説日本
こころ
夏目漱石
「先生」と呼ばれる人物と学生の交流を描く前半と、先生の過去を明かす長い手紙の後半からなる長編。友情と恋のあいだで生じた罪の意識を抱え続ける人間を描き、日本近代文学の代表作の一つに数えられる。
- 1915小説オーストリア=ハンガリー(現チェコ)
変身
フランツ・カフカ
ある朝、巨大な虫に変わってしまった外交販売員グレゴール・ザムザと、その家族の変化を描く中編。変身の理由を一切説明しない語り口が特徴で、不条理文学の代表作として世界的に読まれている。
- 1915小説日本
羅生門
芥川龍之介
荒廃した平安京の羅生門を舞台に、職を失った下人が生きるための悪を選び取るまでの心の動きを描く短編。古典説話を近代的な心理劇として書き直す方法を示した、芥川龍之介の初期代表作である。
- 1916小説日本
高瀬舟
森鴎外
弟殺しの罪で島流しになる喜助が、護送の高瀬舟の上で同心に身の上を語る短編。病苦の弟に頼まれて死なせた経緯と、財産も無いのに満ち足りた表情の謎を通じ、安楽死と知足という二つの問いを静かに提示する。
- 1918小説日本
地獄変
芥川龍之介
絵のためなら何も惜しまぬ絵師良秀が、大殿から地獄変の屏風を命じられ、見たものしか描けぬ性ゆえに惨劇の果てに傑作を完成させる短編。芸術と人倫の相克を突き詰めた芥川中期の代表作。
- 1918小説日本
蜘蛛の糸
芥川龍之介
地獄に落ちた盗人が、生前唯一の善行を理由に極楽から垂らされた一本の糸を登るが、独り占めしようとした瞬間に糸は切れる。児童向け雑誌に発表された短編ながら、利己心の寓話として世代を超えて読み継がれる。
- 1924–1925小説日本
痴人の愛
谷崎潤一郎
堅実な会社員譲治が、カフェで見つけた15歳のナオミを理想の女性に育てようと引き取るが、成長した彼女に翻弄され支配される側へ転落していく長編。育成の欲望が反転する過程を戯画的に描いた問題作。
- 1924小説日本
注文の多い料理店
宮沢賢治
山中で道に迷った二人の紳士が西洋料理店に入るが、扉ごとに増える「注文」に従ううち、客が料理される側だったと気づく短編童話。生前唯一の童話集の表題作で、文明への皮肉を怪奇とユーモアで包む。
- 1924小説ドイツ
魔の山
トーマス・マン
従兄の見舞いにアルプスの結核療養所を訪れた青年ハンス・カストルプが、そのまま7年を過ごし、思想の異なる住人たちとの対話の中で精神的成長を遂げる長編。時間と死を主題にした教養小説の到達点。
- 1925小説アメリカ
グレート・ギャツビー
F・スコット・フィッツジェラルド
豪奢な邸宅で夜ごと宴を開く謎の富豪ギャツビーが、かつて手の届かなかった恋人デイジーを取り戻そうとする姿を、隣人ニックの目から描く長編。1920年代アメリカの繁栄と空虚を象徴する古典。
- 1925小説日本
檸檬
梶井基次郎
得体の知れない不安に取り憑かれた青年が、果物屋で買った一顆の檸檬を丸善の画集の上に置き、それを爆弾に見立てて店を出る短編。鬱屈と鮮烈な感覚描写を結晶させた、昭和文学屈指の名短編。
- 1926小説イギリス
クマのプーさん
A・A・ミルン
少年クリストファー・ロビンと、熊のぬいぐるみプーを中心とする森の仲間たちの日々を描いた連作短篇。E・H・シェパードの挿絵とともに刊行され、ぬいぐるみに人格を与える物語の代表例となった。
- 1928映画アメリカ
蒸気船ウィリー
ウォルト・ディズニー、アブ・アイワークス
蒸気船の下働きのねずみが、船長に叱られながら船上の動物たちを楽器に見立てて騒ぎを起こす短篇アニメーション。音と画を同期させた作品として公開され、ミッキーマウスが広く知られる契機となった。
- 1929小説日本
蟹工船
小林多喜二
オホーツク海で操業する蟹工船を舞台に、過酷な労働に置かれた労働者たちが団結に目覚めていく過程を描く中編。特定の主人公を置かず集団を主体として描く方法で、プロレタリア文学の代表作となった。
- 1929漫画ベルギー
タンタンの冒険
エルジェ
少年記者タンタンと犬のスノーウィが世界各地の事件に巻き込まれる冒険漫画。1929年に新聞の子ども向け付録で連載が始まり、均一な輪郭線で描く作画は後にリーニュ・クレールと呼ばれる系譜の代表とされる。
- 1929–1935小説日本
夜明け前
島崎藤村
木曽馬籠宿の本陣当主・青山半蔵が、国学の理想を胸に明治維新を迎えながら、新時代に裏切られて狂死するまでを描く大長編。作者の父をモデルに、維新を民衆の側から問い直した歴史小説の金字塔。
- 1932小説イギリス
すばらしい新世界
オルダス・ハクスリー
人間が瓶の中で製造され、階級ごとに条件づけられ、快楽剤ソーマで不満を消して生きる未来社会に、旧世界の価値観を持つ「野蛮人」ジョンが連れてこられる長編。快楽による管理を描いた反ユートピアの古典。
- 1933小説日本
春琴抄
谷崎潤一郎
盲目の三味線師匠・春琴と、彼女に生涯仕えた弟子・佐助の関係を、伝記の体裁で再構成した中編。仕える者の献身が愛と区別できなくなっていく過程を、句読点を抑えた独特の文体で描く。
- 1934小説日本
銀河鉄道の夜
宮沢賢治
孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラとともに銀河を走る夜行列車に乗り、さまざまな乗客と出会いながら本当の幸いとは何かを考える幻想物語。作者の没後に刊行され、日本の幻想文学の代表作となった。
- 1935–1939小説日本
宮本武蔵
吉川英治
関ヶ原の敗残兵だった青年武蔵が、剣を通じて己を磨く求道の旅に生き、佐々木小次郎との巌流島の決闘に至るまでを描く大長編。新聞連載で国民的人気を博し、以後の武蔵像を事実上決定づけた。
- 1935–1948小説日本
雪国
川端康成
雪深い温泉町を訪れる男と、そこで生きる芸者との関わりを、徒労と知りつつ注がれる情愛とともに描く長編。断章を磨き上げて積み重ねる書き方で、日本的な抒情を長編小説の形式に定着させた作品とされる。
- 1936小説アメリカ
風と共に去りぬ
マーガレット・ミッチェル
南北戦争と再建期の南部を舞台に、農園の令嬢スカーレット・オハラが戦火で全てを失いながら、故郷タラの土地を支えに生き抜いていく大長編。刊行翌年ピュリッツァー賞を受け、映画とともに世界的現象となった。
- 1936映画アメリカ
モダン・タイムス
チャールズ・チャップリン
工場のベルトコンベアで歯車のように働く男が職を失い、天涯孤独の少女と出会って支え合いながら生きる道を探す喜劇映画。機械文明と大恐慌の時代を笑いで撃った、チャップリンの放浪紳士ものの到達点。
- 1937小説イギリス
ホビットの冒険
J・R・R・トールキン
平穏を愛するホビットのビルボが、魔法使いガンダルフと13人のドワーフに連れ出され、竜に奪われた故郷の宝を取り戻す旅に加わる物語。『指輪物語』へ連なる中つ国の物語の入口となった児童文学。
- 1939小説イギリス
そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティ
孤島の邸宅に招かれた互いに面識のない10人が、童謡の歌詞をなぞって一人ずつ殺されていく長編。探偵不在のまま全員がいなくなる不可能状況を成立させ、ミステリ史上最も有名な作品の一つとなった。
- 1940小説日本
走れメロス
太宰治
処刑までの猶予を得るため親友を人質に差し出した青年が、期限までに戻るべく走り続ける短編。信義をめぐる古代ギリシャ起源の伝承を下敷きに、疑う王と信じる友の対比を極限まで単純化して描く。
- 1941映画アメリカ
市民ケーン
オーソン・ウェルズ
新聞王ケーンが遺した最期の言葉「バラのつぼみ」の意味を、記者が関係者の証言でたどる伝記映画。回想の多視点構成と深い焦点の撮影で映画の文法を革新し、史上最高の映画と評され続けてきた。
- 1942映画アメリカ
カサブランカ
マイケル・カーティス
第二次大戦下の中立都市カサブランカで酒場を営むリックの前に、かつて理由も告げず去った恋人イルザが夫とともに現れる。再会した愛と大義の間の選択を描き、ハリウッド黄金期を代表する恋愛映画となった。
- 1942小説フランス
異邦人
アルベール・カミュ
母の死に涙を流さなかった青年ムルソーが、太陽のまぶしさゆえと語る理由でアラブ人を射殺し、裁判では殺人よりもその冷淡さを裁かれていく中編。不条理の哲学を乾いた文体で結晶させた20世紀文学の古典。
- 1942小説日本
山月記
中島敦
詩人としての名を求めながら果たせず、虎に姿を変えてしまった男が、旧友に自らの半生と心情を語る短編。中国の古典に取材し、自尊心と羞恥をめぐる寓話として教科書でも長く読み継がれている。
- 1943小説フランス
星の王子さま
サン=テグジュペリ
サハラ砂漠に不時着した飛行士が、小さな星から来た王子と出会い、王子が旅の中で見てきた大人たちの奇妙さと、残してきた一輪のバラへの想いを聞く物語。世界で最も翻訳された文学作品の一つ。
- 1943–1948小説日本
細雪
谷崎潤一郎
大阪船場の旧家に生まれた四姉妹の日常と、三女の縁談をめぐる歳月を描く長編。戦時の中断を挟んで戦後に完結し、失われつつあった上方の生活文化を細部まで書き留めた記録性でも評価が高い。
- 1945小説フィンランド
小さなトロールと大きな洪水
トーベ・ヤンソン
ムーミントロールと母が、行方の分からない父を探して洪水の中を旅する物語。スウェーデン語で書かれたムーミンシリーズの第一作で、以後の小説や新聞連載漫画を通じて独自の生き物たちの体系が積み上げられていった。
- 1946–1974漫画日本
サザエさん
長谷川町子
磯野家の長女サザエを中心に、三世代同居の家族と町の人々の日常を描く4コマ漫画。1946年に地方紙で始まり朝日新聞で1974年まで連載。テレビアニメは半世紀を超えて続く、日本の家庭漫画の代名詞。
- 1947小説日本
斜陽
太宰治
没落していく貴族の家の娘かず子が、母の死と弟の破滅を見届けながら、道徳に背いてでも生きる決意を固めていく長編。敗戦直後の没落と再生の物語として熱狂的に読まれ、「斜陽族」という流行語を生んだ。
- 1948小説日本
人間失格
太宰治
他人との関わり方が分からず、道化を演じることでしか人前に立てない男の生涯を、本人の手記という形式で追う長編。自己疎外を描く小説の代表として、発表から長い年月を経ても読み継がれている。
- 1949小説イギリス
一九八四年
ジョージ・オーウェル
全体主義国家オセアニアで真理省に勤めるウィンストンが、記録の改竄という職務の中で体制への疑いを育て、禁じられた恋愛と思想に踏み込んでいく長編。監視社会を描くディストピア小説の最重要作。
- 1950小説イギリス
ライオンと魔女
C・S・ルイス
疎開先の屋敷の衣装箪笥を抜けてナルニア国へ迷い込んだ四兄妹が、白い魔女の永遠の冬を終わらせるため、偉大なライオン・アスランのもとで戦う物語。『ナルニア国物語』全7巻の最初の一冊。
- 1950–2000漫画アメリカ
ピーナッツ
チャールズ・M・シュルツ
チャーリー・ブラウンと犬のスヌーピーを中心に、大人がほとんど登場しない子どもたちの世界を描いた新聞連載漫画。1950年から作者が亡くなる2000年まで、約五十年にわたってほぼ一人の手で描き続けられた。
- 1951小説アメリカ
ライ麦畑でつかまえて
J・D・サリンジャー
名門校を退学になった16歳のホールデンが、家に帰るまでの数日間ニューヨークをさまよい、大人の世界の欺瞞への嫌悪と妹への愛情の間で揺れる長編。若者の口語による語りで青春文学を一変させた。
- 1952映画日本
生きる
黒澤明
市役所で判を押すだけの日々を送ってきた渡辺勘治が、胃癌で余命わずかと知り、住民の陳情だった小さな公園の建設に最後の力を注ぐ映画。官僚制と生の意味を問う、黒澤明の現代劇の最高峰。
- 1952小説日本
二十四の瞳
壺井栄
瀬戸内の岬の分教場に赴任した大石先生と12人の教え子たちの、昭和初年から敗戦後までの歳月を描く長編。戦争が師弟の上に何をもたらしたかを、涙と怒りを抑えた筆で綴り、国民的な反戦文学となった。
- 1952小説アメリカ
老人と海
アーネスト・ヘミングウェイ
長く不漁の続く老漁師サンチャゴが、沖合で巨大なカジキと数日にわたって闘う姿を描く中編。切り詰めた文体で人間の尊厳を描き、ヘミングウェイ後期の代表作として世界中で読まれている。
- 1952–1968漫画日本
鉄腕アトム
手塚治虫
科学省長官が事故で失った息子の代わりに造ったロボットの少年アトムが、人間とロボットの間で揺れながら悪や差別と向き合う。戦後日本のストーリーマンガとロボットSFの原点的存在であり、後のマンガ・アニメに巨大な影響を与えた。
- 1953小説アメリカ
華氏451度
レイ・ブラッドベリ
書物の所持が禁じられ、発見された本を焼くことが消防士の仕事となった未来で、焚書官モンターグが本の側へ寝返っていく長編。思考を奪う娯楽に満ちた社会を描き、ディストピア文学の古典となった。
- 1953映画アメリカ
ローマの休日
ウィリアム・ワイラー
公務に縛られた某国の王女アンが、ローマ滞在中に宮殿を抜け出し、新聞記者ジョーと身分を隠したまま一日だけの自由を過ごすロマンティック・コメディ。オードリー・ヘプバーンを一躍スターにした永遠の名作。
- 1953映画日本
東京物語
小津安二郎
尾道から上京した老夫婦が、それぞれの生活に忙しい子どもたちに疎まれ、戦死した次男の妻だけが心を尽くすさまを静かに描く映画。家族の解体を誇張なく見つめ、国際的な映画人の投票で史上最高位にも選ばれた。
- 1954映画日本
ゴジラ
本多猪四郎
水爆実験で目覚めた巨大生物ゴジラが東京を蹂躙し、科学者たちが自らの発明の使用をめぐって苦悩する特撮映画。戦争と核の記憶を怪獣に託した第一作は、以後70年続くシリーズと怪獣映画というジャンルを生んだ。
- 1954漫画日本
火の鳥
手塚治虫
その生き血を飲めば不死になるという伝説の鳥・火の鳥をめぐり、古代から未来までの各時代を舞台に、生と死、輪廻を描き続けた連作。手塚治虫がライフワークとして生涯にわたり描き継ぎ、未完のまま残されたマンガ史上屈指の大作。
- 1954–1955小説イギリス
指輪物語
J・R・R・トールキン
強大な力を宿す一つの指輪を滅ぼすため、ホビットのフロドと仲間たちが広大な世界を旅する長編。固有の言語や歴史を備えた架空世界を構築し、現代ファンタジーの土台を築いた作品として位置づけられる。
- 1954映画日本
七人の侍
黒澤明
野武士の襲撃に怯える村の百姓たちが七人の侍を雇い、村ぐるみの防衛戦を挑む時代劇映画。仲間集め、訓練、決戦という構成と雨中の合戦描写で、世界の活劇映画の設計図となった黒澤明の代表作。
- 1954小説日本
潮騒
三島由紀夫
伊勢湾の小島・歌島を舞台に、若い漁師の新治と海女の初江が、身分の差と島の噂に阻まれながら結ばれるまでを描く長編。ギリシャの古典に想を得た、三島作品では例外的に明朗な恋愛小説。
- 1955その他オランダ
うさこちゃん
ディック・ブルーナ
うさぎの女の子うさこちゃんを主人公とする絵本シリーズ。太い黒の輪郭線、限られた色数、正方形の判型という枠組みを定めて描き続けられ、日本では石井桃子の訳で広く読まれている。ミッフィーの名でも知られる。
- 1956小説日本
金閣寺
三島由紀夫
吃音に悩む青年僧が、美の象徴である金閣に魅せられ、やがてそれを焼くに至るまでの内面を一人称で追う長編。実際に起きた事件に取材しながら、美と生の対立を問う観念小説として知られる。
- 1956小説日本
楢山節考
深沢七郎
口減らしのため70歳になると楢山へ捨てられる習わしの村で、おりん婆さんが自ら進んで山行きの支度を整え、息子の背に負われて山へ向かう中編。棄老伝説を民謡を織り込んだ文体で描き、衝撃をもって迎えられた。
- 1957映画アメリカ
十二人の怒れる男
シドニー・ルメット
父親殺しの罪に問われた少年の陪審評議で、有罪確実の空気の中ただ一人の陪審員が疑問を唱え、12人の議論が逆転していく法廷劇。ほぼ一室のみで展開する会話劇の金字塔にしてルメットの長編第一作。
- 1957映画チェコスロバキア
クルテク
ズデニェク・ミレル
黒い体に丸い鼻と大きな目を持つもぐらを主人公とする短篇アニメーションのシリーズ。ズボンができるまでを追う第一作が1957年に発表され、以後半世紀にわたって作られ続けた。
- 1957小説日本
点と線
松本清張
九州の海岸で発見された男女の死体は心中とされたが、刑事たちは列車時刻表に潜む僅かな空白に不審を抱く。アリバイ崩しを軸に、犯罪の背後にある組織の腐敗を描いて社会派推理小説の流れを決定づけた長編。
- 1958漫画ベルギー
スマーフ
ペヨ
森の奥のキノコの家に暮らす、青い肌に白い帽子の小さな生き物スマーフたちを描くバンド・デシネ。1958年に別作品の脇役として登場したのち独立し、テレビアニメや商品を通じて世界的に知られるようになった。
- 1959漫画フランス
アステリックス
ルネ・ゴシニ、アルベール・ユデルゾ
ローマ帝国に抗い続けるガリア人の小さな村を舞台に、小柄な戦士アステリックスと巨漢オベリックスの活躍を描くバンド・デシネ。1959年に雑誌ピロットの創刊号から連載が始まった。
- 1959小説アメリカ
アルジャーノンに花束を
ダニエル・キイス
知的障害を持つ青年チャーリイが脳手術で天才となり、やがて実験マウスのアルジャーノンの退行から自分の未来を悟る物語。誤字だらけの経過報告が変化していく形式そのもので知性の獲得と喪失を描く。
- 1960映画アメリカ
サイコ
アルフレッド・ヒッチコック
金を持ち逃げした女マリオンが、雨の夜にたどり着いたモーテルで青年ノーマン・ベイツと出会う。主人公の突然の退場とシャワー室の場面で観客の予断を打ち砕いた、サスペンス映画史の分水嶺。
- 1960–1961小説日本
砂の器
松本清張
蒲田駅の操車場で起きた殺人事件を追う刑事が、被害者の過去と新進音楽家の隠された出自にたどり着く長編。方言の分布という手掛かりから宿命の物語を掘り起こす構成で、社会派推理の代表作となった。
- 1961–1964映画中国
大暴れ孫悟空
万籟鳴
西遊記の前半、孫悟空が天界で暴れ回る挿話を長篇アニメーションにした作品。上海美術映画製廠の制作で、1961年に上篇、1964年に下篇が完成した。原題は大鬧天宮。
- 1961小説ポーランド
ソラリス
スタニスワフ・レム
思考する海に覆われた惑星ソラリスの観測基地で、心理学者ケルヴィンが自死した妻ハリーと再会する。海が人の記憶から作り出す訪問者を通じ、人間には理解できない知性との接触を描いた思弁SFの最高峰。
- 1962小説日本
砂の女
安部公房
昆虫採集に訪れた砂丘の村で、砂穴の底の家に閉じ込められた男が、脱出を試み続けるうちに穴の生活へ順応していく長編。不条理な状況を即物的な描写で積み上げ、自由と定住の意味を問い直す戦後文学の代表作。
- 1963その他日本
ぐりとぐら
中川李枝子、山脇百合子
野ねずみのぐりとぐらが、森で見つけた大きな卵でカステラを焼き、集まってきた動物たちと分け合う絵本。1963年に月刊絵本『こどものとも』の一冊として発表され、1967年に単行本化された。
- 1963–1965小説日本
白い巨塔
山崎豊子
大学病院を舞台に、権力欲に燃える天才外科医財前五郎の教授選への野望と医療過誤裁判を描く長編。学閥・金権・保身が渦巻く医学界の構造を暴き、社会派小説の金字塔として繰り返し映像化されてきた。
- 1963その他アメリカ
かいじゅうたちのいるところ
モーリス・センダック
悪さをして寝室に閉じ込められた少年マックスが、部屋に生えた森を抜けてかいじゅうたちの島へ渡り、王として迎えられる絵本。短い本文と、頁を追うごとに拡大していく絵の構成で知られる。
- 1964漫画日本
サイボーグ009
石ノ森章太郎
死の商人の組織に改造された9人のサイボーグ戦士が、組織を脱走し、自分たちを生んだ戦争の論理と戦い続けるSF漫画。国籍も肌の色も異なる9人のチームで、正義と兵器の矛盾を問い続けた未完の大作。
- 1965小説アメリカ
デューン 砂の惑星
フランク・ハーバート
宇宙で唯一の香料メランジを産する砂漠の惑星アラキスを舞台に、謀略で父と領地を奪われた貴族の子ポールが、砂漠の民フレメンとともに立ち上がる大河SF。生態系と宗教と政治を織り込んだ世界構築の金字塔。
- 1965漫画日本
ゲゲゲの鬼太郎
水木しげる
幽霊族の少年鬼太郎が、目玉おやじやねずみ男らとともに、人間を脅かす妖怪たちの事件を解決していく妖怪漫画。貸本時代の墓場鬼太郎を前身に、1965年から少年誌で連載され、妖怪ブームの中心となった。
- 1965–1966小説日本
黒い雨
井伏鱒二
被爆から数年後の広島の村で、姪の矢須子の縁談のため、叔父が被爆当時の日記を清書していく形式の長編。原爆の惨禍を、日常の記録の淡々とした筆致で描き、原爆文学の最高峰と評される。
- 1966小説日本
沈黙
遠藤周作
島原の乱後の弾圧下の日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴが、信徒の苦難を前に神の沈黙を問い、踏絵の前に立たされるまでを描く長編。棄教という主題を通じて信仰の本質に迫り、世界的に読まれている。
- 1966–1971漫画日本
巨人の星
梶原一騎・川崎のぼる
元プロ野球選手の父・一徹に幼少から鍛え上げられた星飛雄馬が、巨人軍投手として宿命のライバルたちと戦うスポ根漫画。原作・梶原一騎、作画・川崎のぼるの組み合わせで、スポーツ根性ものの型を確立した。
- 1966–1967その他日本
ウルトラマン
円谷特技プロダクション
宇宙から来た巨人ウルトラマンが、地球の防衛組織に属する隊員と一体となり、次々に現れる怪獣と戦う特撮テレビ番組。1966年から1967年にかけて放送され、巨大なヒーローという型を定着させた。
- 1967–1969漫画日本
ルパン三世
モンキー・パンチ
怪盗アルセーヌ・ルパンの孫を名乗る神出鬼没の大泥棒ルパン三世が、次元・五ェ門・不二子と組み、銭形警部の追跡をかわしながら盗みを重ねる痛快活劇。アニメ化により半世紀続く国民的シリーズとなった。
- 1967小説コロンビア
百年の孤独
ガブリエル・ガルシア=マルケス
架空の村マコンドを開いたブエンディア家の、百年にわたる興亡を描く長編。幻想と現実が地続きの語りで一族の年代記を編み、魔術的リアリズムの代表作として20世紀後半の世界文学に決定的な影響を与えた。
- 1968映画アメリカ・イギリス
2001年宇宙の旅
スタンリー・キューブリック
月面で発見された謎の石板モノリスの信号を追い、人工知能HALを搭載した宇宙船が木星へ向かうSF映画。人類の進化を数百万年のスケールで扱い、説明を排した映像叙事でSF映画の水準を書き換えた。
- 1968小説アメリカ
影との戦い ゲド戦記
アーシュラ・K・ル=グウィン
魔法の才に恵まれた少年ゲドが、慢心から放ってしまった影に追われ、やがて自ら影を追う者となって世界の果てで対峙する物語。真の名を知ることが力の源となる魔法体系で、ファンタジーに内面の深さを与えた。
- 1968–1973漫画日本
あしたのジョー
高森朝雄(原作)・ちばてつや(作画)
ドヤ街に流れ着いた少年・矢吹丈が、老トレーナー丹下段平と出会いボクシングに人生を燃やしていく。宿命のライバルとの闘いと、燃え尽きるまで闘い抜く生き様を描き、スポーツマンガの金字塔として時代の象徴にもなった。
- 1968–1972小説日本
坂の上の雲
司馬遼太郎
松山出身の秋山好古・真之兄弟と俳人正岡子規を軸に、明治国家の青春として日露戦争までの時代を描く大長編。楽天的に坂を登った時代という明治観を提示し、日本人の歴史イメージに大きな影響を与えた。
- 1969映画ソビエト連邦
チェブラーシカ
ロマン・カチャーノフ
オレンジの箱に紛れて南の国から運ばれてきた正体不明の生き物チェブラーシカと、動物園で働くワニのゲーナの出会いを描く人形アニメーション。エドゥアルド・ウスペンスキーの児童書を原作とする。
- 1969–1996漫画日本
ドラえもん
藤子・F・不二雄
22世紀から来たネコ型ロボットのドラえもんが、気弱な少年のび太を未来の道具で助けては騒動を起こす一話完結型の生活ギャグ漫画。国民的キャラクターとして世代を超えて読み継がれ、アニメも半世紀近く続く。
- 1969映画日本
男はつらいよ
山田洋次
テキ屋稼業の風来坊・車寅次郎が、葛飾柴又の団子屋の家族のもとへふらりと帰り、旅先で出会うマドンナに恋しては破れる人情喜劇。渥美清主演で1969年から続いた、世界有数の長寿映画シリーズ。
- 1970その他フランス
バーバパパ
アネット・チゾン、タラス・テイラー
地面から生まれたピンク色の生き物バーバパパが、自在に姿を変えながら家族を持ち、暮らしていく絵本シリーズ。夫婦である二人の作者によって作られ、多くの言語に翻訳された。
- 1971–1973その他日本
仮面ライダー
石ノ森章太郎
悪の組織に改造された青年が、その体を得たまま組織と戦う特撮テレビ番組。1971年から1973年まで放送され、バッタを模した仮面とオートバイという組み合わせで、等身大の変身ヒーローの型を作った。
- 1972–1973漫画日本
ベルサイユのばら
池田理代子
フランス革命前夜のベルサイユを舞台に、男装の麗人として育てられた近衛士官オスカルと王妃マリー・アントワネットの運命を描く歴史ロマン。史実と創作人物を交錯させ、少女マンガに本格的な歴史大河の型を持ち込んだ記念碑的作品。
- 1972–1973漫画日本
デビルマン
永井豪
心優しい高校生・不動明が、親友・飛鳥了に導かれてデーモンと合体し、悪魔の力で悪魔と戦うデビルマンとなる。人間の恐怖と憎悪が引き起こす惨劇を描き切り、少年漫画の枠を破壊した黙示録的傑作。
- 1972–1976漫画日本
ポーの一族
萩尾望都
永遠に少年のまま時を生きるバンパネラ(吸血鬼)のエドガーとアランが、数百年にわたり人の世を漂う連作。時系列を再構成する叙述と繊細な心理描写で、少女漫画の表現を文学の水準へ引き上げた金字塔。
- 1972映画アメリカ
ゴッドファーザー
フランシス・フォード・コッポラ
マフィアの長ヴィトー・コルレオーネの一族で、堅気を望んでいた末息子マイケルが、抗争の中で後継者へと変貌していく物語。犯罪一家を家族の物語として描き、アメリカ映画の頂点と評される。
- 1973その他日本
あんぱんまん
やなせたかし
顔があんパンでできたあんぱんまんが、飢えた人に自分の顔を食べさせて助ける絵本。1973年に月刊絵本『キンダーおはなしえほん』の一冊として発表され、後のテレビアニメと膨大な派生キャラクターの原型となった。
- 1973–1983漫画日本
ブラック・ジャック
手塚治虫
法外な報酬を要求する無免許の天才外科医ブラック・ジャックが、一話ごとに患者と向き合い、命の値段と医の倫理を問う医療漫画。手塚治虫後期の代表作で、医療ものというジャンルの水準を決めた連作。
- 1973小説ドイツ
モモ
ミヒャエル・エンデ
円形劇場の廃墟に住み着いた不思議な少女モモが、人々から時間を奪う灰色の男たちに独り立ち向かう物語。人の話を聴く力だけを持つ主人公を通じ、効率に追われる現代人の時間の使い方を問う寓話的長編。
- 1974アニメ日本
アルプスの少女ハイジ
高畑勲
スイスの山小屋で祖父と暮らす少女ハイジの日々と、都会フランクフルトでの生活、車椅子の少女クララとの友情を描くテレビアニメ。ヨハンナ・シュピリの原作小説を、生活描写の積み重ねで再構築した名作。
- 1974その他日本
ハローキティ
サンリオ(初代デザイン:清水侑子)
1974年にサンリオが発表した白い子猫のキャラクター。物語作品としてではなく商品の図柄として出発し、翌年に発売された小さなビニール財布を皮切りに、膨大な種類の商品へ展開された。
- 1976漫画日本
ガラスの仮面
美内すずえ
演劇にすべてを懸ける少女・北島マヤが、ライバル姫川亜弓と競い合いながら、幻の名作「紅天女」の主演を目指す演劇漫画。1976年に始まり今なお完結していない、少女漫画史上屈指の長期連載。
- 1976小説日本
限りなく透明に近いブルー
村上龍
米軍基地の街・福生を舞台に、薬物と乱交の日々を送る若者たちの生態を、匂いと色彩の即物的な描写で綴った中編。デビュー作にして芥川賞を受け、その是非をめぐって社会的な論争を巻き起こした。
- 1977映画アメリカ
スター・ウォーズ
ジョージ・ルーカス
辺境の星の青年ルークが、老騎士オビ=ワンに導かれ、銀河帝国に抗う反乱軍の戦いに身を投じるスペースオペラ。神話の構造を宇宙活劇に移し替えた第一作は、映画産業と大衆文化の形を変えた。
- 1978–1987漫画日本
うる星やつら
高橋留美子
地球侵略に来た宇宙人の娘ラムが、鬼ごっこで自分を破った浮気者の高校生・諸星あたるに一方的に押しかけ同居するドタバタSFラブコメ。ラブコメというジャンルの原型を作った連載として位置づけられる。
- 1979–1980アニメ日本
機動戦士ガンダム
富野由悠季
宇宙移民者の独立戦争に巻き込まれた少年アムロが、モビルスーツ・ガンダムのパイロットとして戦いの中で消耗し成長していくテレビアニメ。ロボットを兵器として描き、リアルロボットものの起点となった。
- 1980–1991漫画アメリカ
マウス
アート・スピーゲルマン
作者が父から聞き取ったホロコーストの体験と、その聞き取り自体をめぐる父子の関係を描いたグラフィックノベル。1980年から雑誌RAWで連載され、1986年と1991年に二巻の単行本としてまとめられた。
- 1980ゲーム日本
パックマン
岩谷徹(ナムコ)
迷路の中の点を食べ進め、追ってくる四体のモンスターを避けるアーケードゲーム。1980年にナムコから発表され、対戦や射撃が中心だった当時の市場に、追いかけっこという枠組みを持ち込んだ。
- 1981–1988漫画日本
キャプテン翼
高橋陽一
ボールと友達の天才少年・大空翼が、仲間やライバルたちと出会いながらサッカーで世界を目指す物語。日本にサッカー人気を根づかせ、海外の名選手たちが影響を公言する、スポーツ漫画の世界的代表作。
- 1981–1986漫画日本
タッチ
あだち充
双子の兄弟・達也と和也、幼なじみの南の三人の関係を軸に、弟の遺した約束を兄が引き受けて甲子園を目指す物語。野球漫画の形を借りながら、言葉にされない感情の機微を余白で描く方法を完成させた。
- 1982–1990漫画日本
AKIRA
大友克洋
崩壊と再建を経た近未来都市ネオ東京で、暴走族の少年たちが超能力をめぐる軍の機密と接触し、都市そのものを巻き込む破局へ向かう長編。緻密な描き込みと映画的なコマ運びで、日本漫画の国際的評価を決定づけた。
- 1982–1987小説日本
銀河英雄伝説
田中芳樹
銀河帝国の天才ラインハルトと自由惑星同盟の名将ヤン・ウェンリーという二人の主人公を軸に、専制と民主主義の優劣を戦史の形で問うスペースオペラ。本伝10巻で完結し、アニメ化でも長く支持される。
- 1983–1988漫画日本
北斗の拳
武論尊・原哲夫
核戦争後の荒廃した世界で、一子相伝の暗殺拳・北斗神拳の伝承者ケンシロウが、暴力が支配する世を拳ひとつで正していく物語。兄弟拳士との宿命の戦いを軸に、1980年代少年漫画の頂点の一つとなった。
- 1984–1995漫画日本
ドラゴンボール
鳥山明
七つ集めると願いが叶うドラゴンボールを探す冒険から始まり、孫悟空が強敵との闘いを通じて成長していく物語。冒険活劇からバトルマンガへと発展しながら世界中で読まれ、少年マンガの世界的な普及を牽引した代表作。
- 1984映画日本
風の谷のナウシカ
宮崎駿
文明崩壊後、有毒の森・腐海に覆われた世界で、辺境の国の族長の娘ナウシカが人と自然の争いの中で共存の道を探る長編アニメーション映画。宮崎駿の名を広く知らしめ、スタジオジブリ設立の直接の契機となった作品。
- 1985映画アメリカ
バック・トゥ・ザ・フューチャー
ロバート・ゼメキス
高校生マーティが、科学者ドクの改造したデロリアンで30年前へ跳び、若き日の両親の出会いを壊しかけたことから、自分の存在を懸けて歴史を修復する時間旅行活劇。娯楽映画の脚本術の教科書とされる。
- 1985ゲーム日本
スーパーマリオブラザーズ
宮本茂
配管工のマリオが、クッパにさらわれたピーチ姫を救うためキノコ王国を駆け抜ける横スクロールアクション。家庭用ゲームの世界的普及を牽引し、走って跳ぶという遊びの快感の基準を作った金字塔。
- 1986漫画日本
ちびまる子ちゃん
さくらももこ
昭和四十年代の静岡・清水を舞台に、小学三年生のまる子と家族や級友たちの日常を、作者自身の少女時代をもとにユーモラスに描くエッセイ風マンガ。テレビアニメ化により国民的作品となり、日常マンガの代表格として定着した。
- 1986ゲーム日本
ドラゴンクエスト
堀井雄二
勇者ロトの血を引く一人の勇者が、竜王にさらわれた姫を救い、世界に平和を取り戻すために旅立つロールプレイングゲーム。コンピュータRPGを日本の家庭用ゲーム機に定着させた記念碑的な第一作。
- 1986映画日本
天空の城ラピュタ
宮崎駿
空から降ってきた少女シータと鉱山の少年パズーが、飛行石の謎と伝説の浮遊都市ラピュタを追い、軍と海賊の争奪戦に巻き込まれる冒険活劇。スタジオジブリの第1回劇場作品となった王道冒険譚。
- 1986ゲーム日本
ゼルダの伝説
宮本茂
少年リンクが、大魔王ガノンに奪われた知恵のトライフォースの欠片とゼルダ姫を求めて広大なハイラルを探索するアクションアドベンチャー。どこへでも行ける自由な探索を核に据えた設計で、後世の指針となった。
- 1987ゲーム日本
ファイナルファンタジー
坂口博信
世界を覆う闇の元凶を追う四人の光の戦士の旅を描くロールプレイングゲーム。時間を遡る大がかりな仕掛けを終盤に置いた物語構成で、以後ナンバリングごとに世界を一新する長寿シリーズの第一作となった。
- 1987漫画日本
ジョジョの奇妙な冒険
荒木飛呂彦
ジョースター家の血統と宿敵ディオの因縁を、世代と舞台を替えながら描き継ぐ大河シリーズ。部ごとに主人公を交代させる構成と、精神力を像として可視化する「スタンド」の発明で、バトル漫画の表現を拡張した。
- 1987小説日本
キッチン
吉本ばなな
唯一の肉親だった祖母を亡くしたみかげが、田辺雄一とその母えり子の家に居候し、台所を心の拠り所に喪失から回復していく中編。死別の悲しみを柔らかな言葉で掬い上げ、世界数十か国で翻訳された。
- 1987小説日本
ノルウェイの森
村上春樹
亡くなった親友の恋人・直子と、快活な同級生・緑のあいだで揺れる青年の1960年代末の日々を、喪失の感覚とともに回想する長編。国内で数百万部規模の売れ行きを記録し、著者の名を一般読者層まで広げた。
- 1988映画日本
火垂るの墓
高畑勲
神戸空襲で母を失った14歳の清太と4歳の節子の兄妹が、親戚の家を出て防空壕で二人きりの生活を営み、飢えの中で妹を失うまでを描くアニメ映画。野坂昭如の同名小説を原作とする戦争映画の金字塔。
- 1988–1995漫画日本
寄生獣
岩明均
人間の脳を乗っ取り捕食する寄生生物の一体が、高校生・泉新一の右手に宿ってしまい、共生する二人が同族と人間の間で戦うSF。人間とは何かを問う思弁と激しい戦闘を両立させた青年漫画の傑作。
- 1988小説日本
ロードス島戦記
水野良
呪われた島ロードスを舞台に、若き騎士パーンと仲間たちが灰色の魔女の陰謀と戦乱に立ち向かうファンタジー小説。卓上RPGのリプレイから生まれた成り立ちを持ち、日本のファンタジー小説の礎となった。
- 1988映画日本
となりのトトロ
宮崎駿
母の療養のため田舎へ引っ越してきた姉妹サツキとメイが、森に棲む不思議な生きものトトロと出会う物語。劇的な事件よりも子どもの目に映る日常と自然の質感を丁寧に描き、世代を超えて愛されるアニメーション映画となった。
- 1989漫画日本
ベルセルク
三浦建太郎
巨剣を担ぐ剣士ガッツが、かつての盟友グリフィスとの因縁と、人身御供の烙印がもたらす魔の襲来に抗い続けるダークファンタジー。圧倒的な描き込みで築かれた中世風世界と、友情が反転する悲劇で知られる。
- 1989–1990漫画日本
攻殻機動隊
士郎正宗
電脳化と義体化が普及した近未来を舞台に、公安9課の草薙素子らがネット犯罪やゴーストをめぐる事件を追うSF警察もの。義体の身体で自我はどこに宿るのかという問いを正面から扱い、国内外のSFに影響を与えた。
- 1990–2010漫画日本
クレヨンしんちゃん
臼井儀人
春日部に住む5歳児・野原しんのすけが、家族や幼稚園の仲間を巻き込んで騒動を起こす日常ギャグ漫画。大人を挑発する子どもの視点で笑いを作り、アニメ版は国民的番組として劇場版も高い評価を得ている。
- 1990–1996漫画日本
スラムダンク
井上雄彦
バスケットボール初心者の不良少年・桜木花道が湘北高校バスケ部に入り、仲間やライバルと共に全国の舞台を目指す青春スポーツマンガ。試合描写の迫力と人物造形の厚みで、バスケットボール人気を大きく押し上げた。
- 1990小説日本
スレイヤーズ
神坂一
天才少女魔道士リナ=インバースが、剣士ガウリイを連れて竜破斬を撃ちまくり、魔族の陰謀に巻き込まれていく痛快ファンタジー。一人称の軽妙な語りでファンタジーの敷居を下げ、ライトノベルの型を作った。
- 1990–1994漫画日本
幽☆遊☆白書
冨樫義博
不良少年・浦飯幽助が交通事故死をきっかけに霊界探偵となり、妖怪や霊能力者との戦いを通じて成長していく少年漫画。暗黒武術会編のトーナメント形式と、敵にも背景を与える設計が後続のバトル漫画に大きな影響を与えた。
- 1992–2004漫画日本
花より男子
神尾葉子
庶民の牧野つくしが、財閥の子息が集う学園で支配者F4に唯一逆らい、その筆頭・道明寺司と衝突しながら惹かれ合う恋愛漫画。少女漫画の発行部数記録を持ち、アジア各国でのドラマ化で国際的現象となった。
- 1992ゲーム日本
星のカービィ
桜井政博(HAL研究所)
敵を吸い込んで吐き出す能力を持つ主人公カービィが、奪われた食べ物を取り返すために進むアクションゲーム。1992年にゲームボーイ用として発売され、以後長く続くシリーズの第一作となった。
- 1992–1997漫画日本
美少女戦士セーラームーン
武内直子
泣き虫な中学生・月野うさぎが月にまつわる戦士の力に目覚め、仲間の戦士たちと前世から続く因縁の敵に立ち向かう物語。少女漫画に変身ヒーローの構造を持ち込み、戦う少女という型を世界的に定着させた。
- 1994漫画日本
名探偵コナン
青山剛昌
謎の組織の薬で小学生の体にされた高校生探偵・工藤新一が、江戸川コナンとして正体を隠しながら難事件を解き、組織の手がかりを追う推理漫画。一話完結の謎解きと長期の縦筋を両立させ、連載は30年を超える。
- 1994–2001漫画日本
MONSTER
浦沢直樹
ドイツで働く天才脳外科医テンマが、かつて命を救った少年ヨハンが怪物的な殺人者となったことを知り、自らの手で追う旅に出るサスペンス。冷戦後の欧州を舞台に、人は怪物になり得るかを問う長編。
- 1994ゲーム日本
MOTHER2 ギーグの逆襲
糸井重里
現代アメリカ風の町に住む少年ネスが、宇宙人ギーグの企みを止めるため仲間と旅するロールプレイングゲーム。剣と魔法ではなくバットと超能力、日常の言葉で紡がれる会話で、RPGの物語の幅を広げた。
- 1994–1999漫画日本
るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
和月伸宏
幕末に人斬り抜刀斎と恐れられた緋村剣心が、明治の世を不殺の誓いとともに流浪し、神谷道場の人々と出会って過去と向き合う剣戟漫画。時代ものを少年誌の主流に押し上げた1990年代の代表作。
- 1994映画アメリカ
ショーシャンクの空に
フランク・ダラボン
妻殺しの冤罪で終身刑となった銀行員アンディが、ショーシャンク刑務所で20年をかけて希望を手放さずに生き抜く物語。スティーヴン・キングの中編を原作に、公開後の再評価で不動の人気を得た。
- 1995ゲーム日本
クロノ・トリガー
坂口博信・堀井雄二・鳥山明
原始から未来までの時代を行き来し、世界を滅ぼす存在ラヴォスの破滅を書き換えるために戦う時間旅行RPG。ドラクエとFFの作り手が集ったドリームプロジェクトとして生まれ、今も名作の代名詞であり続ける。
- 1995–2000小説イギリス
黄金の羅針盤
フィリップ・プルマン
人の魂が体の外に動物の姿で現れる世界を舞台に、少女ライラが失踪した子どもたちの謎を追う長篇。『ライラの冒険』三部作の第一部として1995年に刊行され、2000年に完結した。
- 1995–1996アニメ日本
新世紀エヴァンゲリオン
庵野秀明
謎の敵・使徒と戦うため、十四歳の少年少女が人型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗ることを強いられる物語。ロボットアニメの型を借りながら登場人物の内面へ深く踏み込み、放送後に社会的な議論を巻き起こしたテレビアニメ史の画期。
- 1995映画アメリカ
トイ・ストーリー
ジョン・ラセター
持ち主のいないところで動き出すおもちゃたちの世界を描いた長篇アニメーション。カウボーイ人形ウッディと新入りの宇宙飛行士人形バズの対立と和解を軸に進み、全篇を3DCGで制作した長篇として公開された。
- 1996ゲーム日本
ポケットモンスター 赤・緑
田尻智
野生のポケモンを捕まえ、育て、交換しながら、151匹の図鑑完成とリーグ制覇を目指すロールプレイングゲーム。通信ケーブルでの交換と対戦を核に据えた設計で、世界最大級のメディアフランチャイズの起点となった。
- 1997小説イギリス
ハリー・ポッターと賢者の石
J・K・ローリング
親戚の家で育った少年ハリーが、11歳の誕生日に自分が魔法使いだと知らされ、魔法学校で友情と宿敵の存在を知る第一巻。全7巻のシリーズは世界的な現象となり、児童文学の市場と読者層を塗り替えた。
- 1997映画日本
もののけ姫
宮崎駿
呪いを受けた青年アシタカが、森の神々と山犬に育てられた少女サン、そして森を切り拓く人間たちの争いの只中に立つ、中世日本を舞台とした長編アニメーション映画。自然と文明の対立を単純な善悪に還元せず描き、日本映画の興行記録を塗り替えた。
- 1997漫画日本
ONE PIECE
尾田栄一郎
海賊王を夢見る少年ルフィが仲間を集め、ひとつなぎの大秘宝を求めて大海原を旅する冒険物語。仲間との絆と壮大な世界設定を軸に長期連載を続け、コミックスの発行部数で世界的な記録を持つ現代少年マンガの代表格。
- 1998アニメ日本
カウボーイビバップ
渡辺信一郎
宇宙を漂う賞金稼ぎたちが宇宙船ビバップ号に寄り合い、一話ごとの事件を追いながら各自の過去と向き合っていくSFアニメ。ジャズを軸にした音楽と映画的な演出で、海外でも日本アニメの代表格として高く評価された。
- 1998–2006漫画日本
フルーツバスケット
高屋奈月
母を亡くした本田透が、十二支の動物に変身する呪いを抱えた草摩家の人々と暮らし、その心の傷に寄り添っていく物語。呪いを家族の抑圧の比喩として描き、少女漫画の枠を超えて世界的に読まれた。
- 1998漫画日本
HUNTER×HUNTER
冨樫義博
ハンターである父を探すため少年ゴンが試験に挑み、仲間とともに危険な世界へ踏み込んでいく冒険漫画。制約と誓約を軸にした能力体系「念」の設計で、バトル漫画の理屈の水準を引き上げた。
- 1999–2000アニメ日本
デジモンアドベンチャー
東映アニメーション(原作:本郷あきよし)
キャンプ中に異世界へ飛ばされた子どもたちが、それぞれの相棒デジモンとともに帰還を目指すテレビアニメ。携帯型の育成玩具を原型とし、1999年から2000年にかけて放送された。
- 1999–2014漫画日本
NARUTO
岸本斉史
里の落ちこぼれと疎まれた少年ナルトが、忍としての修業と仲間との絆を通じて認められる存在へと成長していく忍者マンガ。孤独と承認をめぐる主題を軸に世界中で読まれ、日本の忍者イメージを国際的に広めた。
- 1999映画アメリカ
マトリックス
ラナ・ウォシャウスキー、リリー・ウォシャウスキー
昼はプログラマー、夜はハッカーのネオが、現実と信じてきた世界が機械の作った仮想現実だと知らされ、人類の解放者としての戦いに目覚めるSFアクション。映像と思想の両面で時代を画した一作。
- 2000小説日本
キノの旅
時雨沢恵一
旅人キノが言葉を話すモトラド(二輪車)エルメスとともに、一つの国に三日だけ滞在する旅を続ける連作短編。奇妙な制度を持つ国々を通じて人間の性質を寓話的に照らす、静かな読み味のライトノベル。
- 2000漫画日本
NANA
矢沢あい
同じ名を持つ二人の20歳、恋に生きる奈々とロックに生きるナナが、上京の列車で出会い同居を始める物語。夢と恋愛と喪失を描いて社会現象となったが、2009年から作者療養のため休載が続いている。
- 2001–2016漫画日本
BLEACH
久保帯人
霊感の強い高校生・黒崎一護が死神の力を得て、悪霊・虚から人々を守る戦いに身を投じる物語。斬魄刀という武器の固有能力と、洗練された画面と台詞のセンスで、2000年代少年誌の看板の一つとなった。
- 2001ゲーム日本
どうぶつの森
任天堂
動物たちが暮らす村に引っ越し、住民と会話しながら家や暮らしを整えていくゲーム。明確な目標や敵を置かず、実時間と連動した日々の変化を中心に据えた設計で、2001年にNINTENDO64用として発売された。
- 2001ゲーム日本
逆転裁判
巧舟
新米弁護士・成歩堂龍一が、無実の依頼人を守るため法廷で証言の矛盾を突き、逆転無罪を勝ち取っていくアドベンチャーゲーム。異議あり!の掛け声とともに、法廷を舞台にした推理ゲームの型を確立した。
- 2001–2010漫画日本
鋼の錬金術師
荒川弘
禁忌を犯して失ったものを取り戻すため、エルリック兄弟が賢者の石を求めて旅をするダークファンタジー。等価交換という原理を軸に、罪と償い、国家の歴史の闇までを緻密な構成で描き、完結まで破綻なく走り切った点でも評価が高い。
- 2001小説日本
世界の中心で、愛をさけぶ
片山恭一
高校時代に白血病で恋人アキを失った朔太郎が、彼女の声の残るカセットテープとともに過去をたどる恋愛小説。映画化・ドラマ化を機に爆発的に売れ、2000年代の純愛ブームの中心となった。
- 2001映画日本
千と千尋の神隠し
宮崎駿
引っ越しの途中で迷い込んだ異界で、少女千尋が名前を奪われ、湯屋で働きながら両親を取り戻そうとする長編アニメーション映画。日本映画の興行記録を長く保持し、国際的な映画賞にも輝いた、ジブリ作品の代表格。
- 2002映画日本
千年女優
今敏
引退した大女優・藤原千代子の回想が、彼女の出演した映画の場面と混ざり合いながら、若き日に一度だけ会った鍵の君を追い続けた生涯を描くアニメ映画。虚実の混淆を編集の魔術で見せる今敏の代表作。
- 2003–2006漫画日本
DEATH NOTE
大場つぐみ・小畑健
名前を書かれた人間が死ぬノートを拾った天才高校生・夜神月が、犯罪者を粛清する新世界の神を志し、名探偵Lとの頭脳戦に突入するサスペンス。バトルなき知略戦を少年誌で成立させた画期的作品。
- 2003–2019漫画日本
銀魂
空知英秋
天人と呼ばれる異星人に開国させられ、廃刀令の敷かれた江戸。侍の気風だけは手放さない坂田銀時が、志村新八と神楽を抱えて万事屋という何でも屋を営む。下ネタとパロディの連続に見えて、攘夷戦争を戦った者たちの因縁が本筋として通っており、笑いと殺陣が同じ人物の上で切り替わる構成で15年半続いた。
- 2003小説日本
涼宮ハルヒの憂鬱
谷川流
宇宙人・未来人・超能力者に会いたいと公言する少女ハルヒと、彼女に巻き込まれた語り手キョンの日常が、実は世界の存亡と直結していたというSF学園もの。2000年代のライトノベルを代表する一作。
- 2005–2017漫画日本
君に届け
椎名軽穂
見た目のせいで貞子と呼ばれ避けられてきた黒沼爽子が、爽やかな風早翔太との出会いを機に、少しずつ友達と恋を知っていく物語。誤解が解けていく丁寧さで支持された、2000年代少女漫画の代表作。
- 2005ゲーム日本
ワンダと巨像
上田文人
禁じられた地に少女の亡骸を運び込んだ青年ワンダが、彼女の魂を取り戻すため、荒野に立つ16体の巨像を倒していくアクションアドベンチャー。倒すことの痛みを問い、ゲームは芸術かの議論の中心となった。
- 2006–2008アニメ日本
コードギアス 反逆のルルーシュ
谷口悟朗
超大国ブリタニアに占領された日本で、亡国の皇子ルルーシュが絶対遵守の力ギアスを得て、仮面の男ゼロとして反逆を開始するテレビアニメ。知略戦と倫理の代償を描き切り、2000年代を代表する作品となった。
- 2006映画日本
時をかける少女
細田守
時間を跳躍する力を偶然手に入れた高校生・真琴が、些細なやり直しを繰り返すうちに、取り返しのつかない選択と向き合うことになる青春SFアニメーション映画。筒井康隆の同名小説の後日譚的な翻案であり、細田守の名を広めた出世作。
- 2007映画日本
秒速5センチメートル
新海誠
小学校の卒業で離れ離れになった貴樹と明里の距離を、雪の夜の再会、種子島での高校時代、大人になった東京という三つの短編で描く連作アニメ映画。すれ違いの痛みを風景の美しさで描く新海誠の初期代表作。
- 2007漫画日本
3月のライオン
羽海野チカ
家族を事故で失い、内弟子として育った17歳のプロ棋士・桐山零が、下町の川本家三姉妹との交流の中で孤独から回復していく物語。将棋界の勝負の厳しさと、食卓の温かさを往復しながら描く群像劇。
- 2008–2014漫画日本
黒子のバスケ
藤巻忠俊
中学時代は記録にも印象にも残らない幻の六人目だった主人公が、パスで仲間を輝かせるプレースタイルを武器に、かつての天才チームメイトたちと高校バスケの頂点で再び相まみえるスポーツマンガ。
- 2008映画アメリカ
ウォーリー
アンドリュー・スタントン
人間の去った地球で、ごみを圧縮し続ける旧型ロボットのウォーリーが、探査機として飛来した白い機体イヴと出会う長篇アニメーション。前半は台詞をほとんど用いず、機械の動作だけで物語を進める構成を取る。
- 2009–2021漫画日本
進撃の巨人
諫山創
人を喰う巨人から壁の内側に逃れて暮らす人類が、壁の崩壊をきっかけに世界の真実へと踏み込んでいくダークファンタジー。閉ざされた世界の謎を段階的に開示する構成と、善悪の反転を恐れない展開で国際的な現象となった。
- 2009ゲーム日本
STEINS;GATE
志倉千代丸
秋葉原の自称マッドサイエンティスト岡部倫太郎が、偶然完成した過去へメールを送る装置で歴史を改変し、その代償と向き合う想定科学アドベンチャー。タイムリープものの金字塔としてアニメ版とともに愛される。
- 2009映画日本
サマーウォーズ
細田守
数学が得意な高校生・健二が、憧れの先輩の婚約者のふりをするため長野の旧家の大家族に招かれた夏、仮想空間OZの暴走による世界的危機に一族総出で立ち向かうアニメ映画。家族と情報社会を結んだ娯楽作。
- 2009小説日本
ソードアート・オンライン
川原礫
ログアウト不能となったVRMMO「SAO」で、死がそのまま現実の死となるデスゲームに閉じ込められた剣士キリトの戦いを描くSF。Web発の小説が書籍化されて世界的な人気を得た、VRもの・デスゲームものの代表作。
- 2011アニメ日本
魔法少女まどか☆マギカ
新房昭之
願いと引き換えに魔法少女となった少女たちが、その契約の本当の意味を知っていくテレビアニメ。可憐な絵柄の魔法少女ものの型を借りながら、願いの代償と自己犠牲を突き詰めた構成で、深夜アニメの枠を超えて広く議論を呼んだ。
- 2011–2018漫画日本
東京喰種トーキョーグール
石田スイ
人を食べなければ生きられない喰種が人間に紛れて暮らす東京で、事故から半喰種になった大学生・金木研が、どちらの側にも属せないまま両者の争いの中心へ引き寄せられていく物語。無印全14巻と続篇『東京喰種:re』全16巻で一続きの一つの物語をなす。食の禁忌と、加害と被害が入れ替わる関係を主題に置いた青年誌のダークファンタジー。
- 2012–2016漫画日本
暗殺教室
松井優征
地球を滅ぼすと予告した謎の超生物を、進学校の落ちこぼれクラスが一年以内に暗殺するという特命のもと、標的自身が担任教師として生徒に向き合っていく学園バトルマンガ。
- 2012–2020漫画日本
ハイキュー!!
古舘春一
小柄な日向翔陽が、中学時代に敗れた天才セッター影山飛雄と同じ高校で組むことになり、烏野高校排球部の仲間とともに全国を目指すバレーボール漫画。敵味方の別なく選手を描く群像劇として支持を集めた。
- 2012–2020漫画日本
七つの大罪
鈴木央
無実の罪で追放された伝説の騎士団が、王女とともに国を取り戻すため仲間を集める中世ファンタジー。仲間集めの物語が、やがて種族間の古い戦争と、団長自身の過去をめぐる大きな物語に発展していく。
- 2013–2014漫画日本
聲の形
大今良時
小学生の頃、耳の聞こえない転校生・西宮硝子をいじめた石田将也が、高校生になって彼女に会いに行き、償いと再生の道を探る物語。いじめの加害と障害を正面から扱い、映画化とともに広く読まれた。
- 2013小説日本
転生したらスライムだった件
伏瀬
通り魔に刺されて死んだ会社員が、異世界で最弱の魔物スライムに転生し、捕食と模倣の能力で仲間を増やして魔物の国を築いていく物語。Web発の異世界転生ブームを代表する作品の一つ。
- 2014–2024漫画日本
僕のヒーローアカデミア
堀越耕平
人口の8割が超常能力「個性」を持つ世界で、無個性の少年・緑谷出久が最高のヒーロー、オールマイトに見出され、力を受け継いでヒーローを目指す物語。日米で高い人気を得た2010年代少年漫画の代表格。
- 2015ゲームアメリカ
UNDERTALE
トビー・フォックス
地下世界に落ちた子どもが、モンスターたちと戦うか見逃すかを選びながら地上を目指すRPG。誰も倒さずに進める設計と、プレイヤーの行いを作品自体が記憶して応答する仕掛けで、世界的な熱狂を生んだ。
- 2016–2020漫画日本
鬼滅の刃
吾峠呼世晴
家族を鬼に殺された少年・炭治郎が、鬼にされた妹を人間に戻すため剣士として鬼と闘う和風剣戟譚。敵である鬼の側の悲哀まで描く筆致が幅広い層に届き、アニメ化を経て社会現象と呼ばれる規模の人気を得た。
- 2016映画日本
君の名は。
新海誠
田舎町の少女と東京の少年が眠るたびに入れ替わる現象に見舞われ、やがて二人が会おうとするとき、隔たりの正体が明らかになっていく長編アニメーション映画。国内外で記録的な興行成績を収め、新海誠を広く一般に知らしめた。
- 2016–2020漫画日本
約束のネバーランド
原作・白井カイウ/作画・出水ぽすか
森に囲まれた孤児院で幸せに育てられていた子どもたちが、そこが人ならざる者へ出荷するための農園だと知り、全員での脱獄を計画する物語。前半は監視者との頭脳戦、後半は二つの世界を隔てる約束そのものを組み替える話へと広がる。少年誌の連載でありながら、育てられる優しさが飼育の合理でもあるという反転を軸に置いた。
- 2017ゲーム日本
NieR:Automata
ヨコオタロウ
人類が月へ退避した遠未来の地球で、アンドロイドの2Bと9Sが機械生命体と戦うアクションRPG。周回ごとに視点と真実が更新される構成で、戦いの意味と存在の理由を問い、世界で高い評価を得た。
- 2018漫画日本
チェンソーマン
藤本タツキ
借金に追われる少年デンジが、チェンソーの悪魔ポチタと契約して悪魔ハンターとなり、公安の部隊で異形の敵と戦う物語。欲望に忠実な主人公と予測不能な展開で、2010年代末以降の漫画の空気を変えた。
- 2018–2024漫画日本
呪術廻戦
芥見下々
特級呪物・両面宿儺の指を飲み込んだ高校生・虎杖悠仁が、呪術師の学校に身を置き、人の負の感情から生まれる呪霊と戦う物語。ダークな世界観と喪失を恐れない展開で、2020年前後の看板作品となった。
- 2018アニメ日本
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
石立太一
戦争で道具のように生きてきた少女ヴァイオレットが、手紙の代筆業を通じて依頼人たちの想いに触れ、自分が最後に受け取った言葉の意味を探していくテレビアニメ。京都アニメーションの映像美と一話ごとの書簡劇で高い評価を得た。
- 2019漫画日本
SPY×FAMILY
遠藤達哉
スパイの父、殺し屋の母、心を読む超能力者の娘が、互いの正体を隠したまま任務と受験のために偽装家族を演じるホームコメディ。全員が秘密を抱えた疑似家族という設計で、国内外で爆発的な人気を得た。
- 2020漫画日本
ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ
ナガノ
小さな生きものたちの日常を短い形式で描きながら、その背後に討伐・資格試験・報酬という労働の仕組みと、擬態やキメラといった不穏な設定を並走させる作品。かわいい絵柄と厳しい世界観の落差そのものが読解の対象になっている。
- 2020–2024漫画日本
【推しの子】
赤坂アカ・横槍メンゴ
推しのアイドル・星野アイの子として転生した医師が、母を殺した犯人と芸能界の闇を追う物語。転生ものの導入で芸能界の実相を描く二重構造を持ち、主題歌とともに世界的な話題作となった。
- 2020漫画日本
葬送のフリーレン
山田鐘人・アベツカサ
魔王討伐から半世紀、長命のエルフの魔法使いフリーレンが、亡き勇者ヒンメルの記憶をたどって再び旅に出る物語。冒険の後日譚という視点から、人の寿命と記憶の意味を静かに描き、幅広い支持を得ている。