羅生門
- 作者
- 芥川龍之介
- 発表
- 1915年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
荒廃した平安京の羅生門を舞台に、職を失った下人が生きるための悪を選び取るまでの心の動きを描く短編。古典説話を近代的な心理劇として書き直す方法を示した、芥川龍之介の初期代表作である。
1915年に発表された。『今昔物語集』の説話を素材にしながら、出来事そのものよりも登場人物の論理と自己正当化の過程に焦点を移し、古典を近代小説の問いへ変換する手法を示した。極限状況での善悪の判断という主題が簡潔な構成の中に凝縮されており、短編という形式で思想的な主題を扱う日本近代文学の型の一つになった。題名は後年の映画にも借りられ、名称そのものが物語文化の共有語彙となっている。
この作品が使っている物語の型
- 正義の代償正しいことをした結果、当人が何かを失っていくというテーマ。正義を貫くこと自体は否定せず、その正しさが誰かを傷つける構造を丁寧に描くと安易な勧善懲悪から抜け出せる。
- 日常が壊れる一日何の変哲もない一日の中に、それまでの日常を根底から変えてしまう出来事が紛れ込む主題。事件の大小よりも「その日から何かが違って見える」感覚を描く。