金閣寺
- 作者
- 三島由紀夫
- 発表
- 1956年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
吃音に悩む青年僧が、美の象徴である金閣に魅せられ、やがてそれを焼くに至るまでの内面を一人称で追う長編。実際に起きた事件に取材しながら、美と生の対立を問う観念小説として知られる。
1956年に発表された。1950年の金閣寺放火事件を素材としつつ、事件の再現ではなく、行為に至る意識の論理を構築することに主眼を置く。美に近づけない者の疎外と、美を滅ぼすことでしか美と関係を結べないという逆説を、緻密な文体で組み上げた。実在の事件を観念的な主題の器として用いる方法の代表例であり、三島由紀夫の作品の中でも国内外で広く読まれてきた一つに数えられる。
この作品が使っている物語の型
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。
- 集団の中の孤独大勢に囲まれていながら誰にも本心を明かせない孤独を描くテーマ。物理的な独りではなく、心理的な隔たりに焦点を当てる。