千と千尋の神隠し
- 作者
- 宮崎駿
- 発表
- 2001年
- 国
- 日本
- 媒体
- 映画
引っ越しの途中で迷い込んだ異界で、少女千尋が名前を奪われ、湯屋で働きながら両親を取り戻そうとする長編アニメーション映画。日本映画の興行記録を長く保持し、国際的な映画賞にも輝いた、ジブリ作品の代表格。
名前を奪われることが自己の喪失と直結する世界設定は、昔話の異界訪問譚の型を現代の子どもの物語として再生させたものといえる。何もできなかった少女が、労働を通じて他者と関わり自分の足で立つようになる過程が、派手な戦いではなく日々の仕事の描写で示される点に特徴がある。八百万の神々が集う湯屋という空間造形の豊かさも含め、日本のアニメーション映画が世界の映画史に位置づけられる契機となった作品である。
この作品が使っている物語の型
- 名前を失う本名や立場を捨て、別の呼び名で生きることを選ぶ、あるいは強いられる過程を描くテーマ。名前と自己同一性の結びつきを扱う。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 成長と代償人物が何かを得るために別の何かを手放さざるを得ないという交換の構造を扱うテーマ。強く賢くなる過程で失われたものの重さを描けるかが鍵になる。