人間失格
- 作者
- 太宰治
- 発表
- 1948年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
他人との関わり方が分からず、道化を演じることでしか人前に立てない男の生涯を、本人の手記という形式で追う長編。自己疎外を描く小説の代表として、発表から長い年月を経ても読み継がれている。
1948年に発表された。三冊の手記と、それを挟む前後の枠という構造を持ち、語り手の自己申告をどこまで信用するかという読みの緊張を生む。恥と演技を軸に据えた一人称の告白体は、私小説の伝統を引き継ぎながら、それを個人の事情を超えた疎外の物語へ広げた点に特徴がある。太宰治の最晩年の作品であり、告白という形式が持つ力と危うさの両方を示す例として、現在も新しい読者を得続けている。
この作品が使っている物語の型
- 二重生活表の顔と裏の顔、あるいは二つの場所・二つの名前を同時に生きる人物を描くテーマ。切り替えの瞬間そのものを見せ場にできるかが設計の鍵になる。
- 集団の中の孤独大勢に囲まれていながら誰にも本心を明かせない孤独を描くテーマ。物理的な独りではなく、心理的な隔たりに焦点を当てる。
- 拾った手帳・落とし物誰かの落とし物を拾ったことをきっかけに物語が動き出すプロット型。持ち主を探す行為そのものよりも、中身から見える他人の人生への興味が物語を駆動する。