罪と罰
Crime and Punishment
- 作者
- フョードル・ドストエフスキー
- 発表
- 1866年
- 国
- ロシア
- 媒体
- 小説
貧困の中で独自の理論を組み立てた元学生ラスコーリニコフが、金貸しの老女を殺害し、その後の意識の分裂と人々との対話の中で崩れていく過程を描く長編。心理小説と思想小説を結合した近代文学の代表作。
1866年に雑誌連載として発表された。犯行そのものは物語の早い段階で描かれ、重心は犯した者の内面と、彼を取り巻く人々との対話に置かれる。選ばれた人間には道徳を超える権利があるという理論を、生身の心身がそれに耐えられるのかという実験として物語化した構成が特徴である。緊張に満ちた対話劇や都市の貧困の描写も含め、罪と再生を扱う後世の物語に広く影響を与え、犯罪を内側から描く小説の基準点となった。
この作品が使っている物語の型
- 償い過去に誰かを傷つけた人物が、その埋め合わせのために行動するテーマ。許しを得ることをゴールにせず、償う行為そのものに意味を持たせられるかが鍵になる。
- 正義の代償正しいことをした結果、当人が何かを失っていくというテーマ。正義を貫くこと自体は否定せず、その正しさが誰かを傷つける構造を丁寧に描くと安易な勧善懲悪から抜け出せる。
- 信仰と疑い信じてきたもの――神、教え、あるいは人――への信頼が揺らぎ、それでも何を拠り所にして生きるかを問い直す人物を描くテーマ。