鬼滅の刃
- 作者
- 吾峠呼世晴
- 発表
- 2016–2020年
- 国
- 日本
- 媒体
- 漫画
家族を鬼に殺された少年・炭治郎が、鬼にされた妹を人間に戻すため剣士として鬼と闘う和風剣戟譚。敵である鬼の側の悲哀まで描く筆致が幅広い層に届き、アニメ化を経て社会現象と呼ばれる規模の人気を得た。
復讐譚の骨格を持ちながら、主人公の目的が「妹を人間に戻す」という回復の物語である点が、作品全体の温度を決めている。倒される鬼の側にも人間だった頃の記憶と事情を与え、戦いの度に敵の生を弔う構成は、勝敗の爽快さとは別の余韻を少年マンガに持ち込んだ。連載は比較的短期で完結しており、引き延ばしを避けた密度の高い長編として、メディア展開と共に二〇二〇年前後の文化状況を象徴する存在となった。
この作品が使っている物語の型
- 兄弟姉妹生まれた時から比較され続ける、あるいは互いをよく知りすぎているという特有の距離感を持つ関係性。血のつながりゆえに断ち切れない結びつきが物語の軸になる。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。
- 復讐受けた害への報いを求めて動く人物を描くテーマ。復讐そのものより、それを遂げた後(あるいは遂げられなかった後)に残るものを描くかどうかで作品の深さが決まる。