となりのトトロ
- 作者
- 宮崎駿
- 発表
- 1988年
- 国
- 日本
- 媒体
- 映画
母の療養のため田舎へ引っ越してきた姉妹サツキとメイが、森に棲む不思議な生きものトトロと出会う物語。劇的な事件よりも子どもの目に映る日常と自然の質感を丁寧に描き、世代を超えて愛されるアニメーション映画となった。
明確な敵も大事件も置かず、引っ越しという生活の変化と子どもの不安を物語の推進力にした構成が特徴で、ファンタジーが日常の延長として立ち上がる稀有な例となった。姉妹それぞれの年齢に応じた世界の見え方の違いを描き分ける演出は、子どもを観客としてだけでなく主体として描く姿勢の表れといえる。昭和の里山の風景描写と共に、アニメーション映画における「何も起こらない豊かさ」の到達点として参照され続けている。
この作品が使っている物語の型
- 引っ越し・新生活見知らぬ土地での新生活の始まりを起点に展開するプロット型。土地に馴染んでいく過程そのものを、そのまま人物の変化として描けるかが要になる。
- 兄弟姉妹生まれた時から比較され続ける、あるいは互いをよく知りすぎているという特有の距離感を持つ関係性。血のつながりゆえに断ち切れない結びつきが物語の軸になる。
- 人間と人ならざるもの妖・精霊・付喪神など、人ではない存在と人間との間に結ばれる関係性。種としての違いを都合よく消さず、異質さを保ったまま心を通わせられるかが書きどころになる。