最後の一日
何かが終わる日、あるいは人物にとって最後になるとわかっている一日だけを切り取るプロット型。長い年月を圧縮して描く濃密さが持ち味になる。
店の閉店、部活の解散、余命の期限、引っ越しなど、何かが終わる日、あるいは人物にとって「最後」だと分かっている一日だけを切り取って描くプロット型である。長い年月にわたる関係や積み重ねを、たった一日の出来事に凝縮して見せる構成であるため、その一日に至るまでの背景をどう自然に読者へ手渡すかが技術的な要になる。回想を多用しすぎると「最後の一日」の緊張が薄れるため、現在の行動の中に過去がにじむ描き方が向いている。
型のバリエーション
- 終わりが避けられないと分かっている中で、それでも普段通りに過ごそうとする型。
- 最後の一日にだけ、これまで言えなかったことを言おうとする型。
- 最後だと知っているのは一部の人物だけで、知らない人物との温度差が切なさを生む型。
- 最後の一日の終わりに、実は「終わり」ではなく「始まり」が用意されている型。
- 複数の人物それぞれにとっての「最後の一日」が、同じ一日の中で並行して描かれる群像型。
筋書きの例
- 老朽化で取り壊しが決まった商店街の小さな店の最終営業日、常連客たちがいつも通りの注文をしながら、いつもより少しだけ長く店に留まっていく。
- 部員がたった一人になった吹奏楽部の最後の合奏の日、これまでコンクールに出られなかった悔しさよりも、この場所で音を合わせてきた時間そのものへの愛おしさが勝っていく。
- 余命を宣告された職人が、弟子との最後の稽古の一日を、いつも通りの厳しさで過ごしながら、最後にだけ普段言わない一言を口にする。
組み合わせやすい題材
テーマの「時間との闘い」「記憶」とほぼ一体で機能し、プロット型の「タイムリープ」と組み合わせると、同じ最後の一日を繰り返し描く変奏も可能になる。