依頼を断れない
気乗りしない、あるいは負担の大きい依頼を、断る理由を持てずに引き受けてしまうところから始まるプロット型。引き受けた経緯そのものが関係の入口になる。
気乗りしない、あるいは明らかに負担の大きい依頼を、断る理由を持てずに引き受けてしまうところから始まるプロット型である。恩義がある、断ると角が立つ、他に頼める者がいない――理由は様々だが、共通するのは主人公が積極的にその関わりを望んだわけではないという点にある。乗り気でないまま始まった関係だからこそ、その後に生まれる情や信頼が、対等な出会いから始まる物語とは違う質感を帯びる。
このプロット型の見せ場は、依頼を引き受けた当初の温度の低さと、物語が進むにつれて生まれる感情の変化の落差にある。渋々始めた関わりの中で、依頼人の抱える事情や人柄に触れ、いつの間にか義理を超えた関わりになっていく過程を丁寧に描くことが求められる。
型のバリエーション
- 断りきれずに引き受けた依頼が、想像以上に大きな厄介事だったと後から分かる型。
- 依頼人への義理や恩から断れず、その義理の正体が後になって明かされる型。
- 一度限りのつもりだった依頼が、繰り返し頼られる関係に発展していく型。
- 依頼を断れなかった本当の理由が、当人にも自覚できていなかった型。
- 依頼を引き受けたことを後悔していた人物が、最後には引き受けてよかったと思う型。
筋書きの例
- かつて世話になった相手からの頼みを断りきれず、行方の分からない人物を探す羽目になった探偵が、調査を進めるうちに依頼人自身の抱える事情に巻き込まれていく。
- 顔見知り程度の相手から急に子どもの送迎を頼まれ、断る間もなく引き受けた人物が、その子どもとの奇妙な数週間を通じて依頼人の家庭の事情を知っていく。
- 商店街の付き合いで断れずに引き受けた催しの手伝いが、思いのほか長く続く関わりに発展し、最初は面倒だと思っていた相手と気づけば親しくなっている。
組み合わせやすい題材
関係性の「依頼人と探偵」「常連客と店主」と特に相性がよい。関係性の「顧客と職人」と重ねると、職業上のつながりから始まる依頼の物語として展開できる。