制作途中の作品
完成しないまま残された絵や原稿、彫刻などが、作り手の心情や未完のまま終わった事情を語るモチーフ。完成させるかどうかの選択に、遺された側の意志が表れる。
完成しないまま残された絵、書きかけの原稿、途中で止まった彫刻など、未完成の作品というモチーフである。完成品が作り手の実力や成果を示すのに対し、制作途中の作品はむしろ作り手の迷いや逡巡、あるいは制作を中断せざるを得なかった事情そのものを雄弁に語る。筆致の乱れ、途中で変わった構図、書き込みの空白――未完成であることそれ自体が、完成品にはない情報量を持っている。
このモチーフの書きどころは、その作品を「完成させるかどうか」という選択に、遺された側や後を託された側の意志を反映させられる点にある。同じ手で完成させるのか、まったく違う手が続きを引き継ぐのか、あるいは未完成のまま留めておくことこそが正しい弔いなのか――どの選択を取るかで、物語の主題が変わる。
型のバリエーション
- 亡くなった、あるいは筆を折った作り手の未完成作品を、弟子や家族が引き継いで完成させる型。
- 未完成のまま残された理由が、作り手の心情の変化にあったと後で判明する型。
- 未完成の作品をあえて完成させず、そのままの形で大切にする型。
- 未完成作品の続きを完成させることが、遺された側の弔いや区切りになる型。
- 複数の未完成作品が並べられ、作り手の変遷そのものが物語られる型。
筋書きの例
- 病で筆を折った画家が最後に手がけていた未完成の絵を、弟子が師の意図を推測しながら仕上げるべきか、未完のまま残すべきかで迷う。
- 亡くなった作曲家の遺した楽譜の最後の数小節が空白のままになっており、その続きを誰が書き足すべきかをめぐって、遺族と門下生の間で意見が分かれる。
- 書きかけのまま作者が失踪した小説の続きを、担当編集者が長年探し続けてきた末に、思いがけない場所でその答えを見つける。
組み合わせやすい題材
モチーフの「骨董品・古道具」「楽器」、関係性の「師弟」と特に相性がよい。プロット型の「弟子が師を超える日」を重ねると、未完成作品を完成させる行為が師弟関係の到達点として機能する。