アニメ D-14作画と動き
止め絵をカメラで動かす(パン・T.U.)
別名: PAN、T.U.、T.B.
絵は動かさず、カメラの横移動(パン)や寄り・引きだけで画面に動きと視線の流れを作る技法。
どういう技法か
アニメの撮影では、1枚の絵に対してカメラを横に振るパン、被写体に近づくトラックアップ(T.U.)、離れるトラックバック(T.B.)などのカメラワークを指定できる。止め絵にこれを組み合わせると、作画枚数を増やさずに動きのある画面になる。日本のテレビアニメは、作画の枚数を抑えるために止め絵を多く使い、止め絵にカメラワークを付けて見せ場にする演出を育ててきたとされる。静止写真を寄りとパンで見せる手法(Ken Burns 効果)の設計は K-02 を参照。
なぜ効くのか
静止画でも、枠が動けば観客は時間の流れと注意の移動を感じる。パンは絵の中を順に見せていくので、観客の視線を作り手の順序で導ける。寄りは対象の重要さを、引きは状況の広がりを伝える。擬似的な視差を加えれば奥行きも出せる。
やり方
- 見せたい順に、絵の中の注目点を2〜3か所決める
- 注目点から注目点へ、パンか寄りでつなぐ経路を引く
- 動き出しと止まり際を緩やかにし(イーズ)、止まった所で一拍置く
- カットの長さに対して移動量が多すぎないか確認する
使いどころ
風景の紹介、回想、状況説明、決めの一枚絵。作画の手間をかけずに、画面に時間を流したいとき。集合した人物を順に紹介する、画面の中の手がかりに気づかせる、といった視線の案内にも向く。
やりすぎ・失敗
移動が速いと絵の粗や解像度不足が目立つ。すべてのカットで寄りやパンを入れると単調になり、船酔いのような不快感も出る。注目点のない所で止まると、観客は何を見るべきか迷う。
AIアニメでの使い方
止め絵を見せ場として使う考え方は、fantasist.org のモーションコミックにそのまま当てはまる。山場のコマは他より長く見せ、ゆっくりした寄りか横流しを一つだけ付けて、一枚絵として味わわせる。動きの少ない止めのカットと、寄りやパンのカットを交互に置くと、止め絵が続いても単調になりにくい。寄り・引きの枠の決め方と止める位置の設計は K-02 を参照。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- もっとアニメを知るための撮影講座 第4回 カメラワークを考える
パン・T.U./T.B.・フォローなどアニメ撮影のカメラワークの説明
- リミテッド・アニメーション
止め絵を用いるリミテッドアニメーションの文脈