アニメ B-03カメラとショット
パン・ティルト(PAN・縦PAN)
別名: PAN、パン、PAN UP/DOWN、ティルト
カメラの位置を固定して向きを振る動き。横に振るのがパン、縦に振るのがティルト。アニメでは縦も「PAN」と書く。
どういう技法か
パンはカメラの位置を固定したまま、向きを左右に振る動きである。上下に振る動きは実写ではティルトと呼ぶが、アニメの現場ではティルトとは言わず、縦PAN、PAN UP、PAN DOWNと書くことが多いと撮影監督が説明している。アニメでは、大きな背景の上で撮影の枠を移動させて表現する。なおT.U./T.B.はティルトではなくトラックアップ/バックの略である点に注意が要る。
なぜ効くのか
パンは、見る側の頭や目を横に振る動きに近い。画面外にあったものを順に見せられるので、広さを伝えたり、次の情報を明かしたりできる。縦のパンは高さや大きさを伝える。動きの速さが印象を決め、ゆっくりなら観察、速ければ驚きや勢いとして受け取られる。始点と終点は、見る側の視線の出発点と到着点になる。見る側は動きの行き先を予想しながら見るので、終点の画が強く印象に残る。
やり方
- パンの始点と終点の構図をそれぞれ決め、両方とも絵として成立させる
- 背景を移動量に見合う大きさで描く(横長・縦長の大判)
- 動き出しと止まりに緩急(ゆっくり始めて止める)をつける
- 速すぎて絵がぶれないよう、秒数と移動距離を釣り合わせる
使いどころ
広い風景を見せる、人物から人物へ視線を移す、高い建物を見上げるなど、画面外の情報を順に見せたいときに使う。1枚の絵の中で情報を段階的に明かし、最後に意外なものを見せる手段にもなる。
やりすぎ・失敗
目的のないパンは画面を落ち着かなくする。始点か終点の構図が弱いと、動きが途中で迷って見える。T.U.を「ティルトアップ」と取り違えると指示が伝わらない。速すぎるパンは、絵が流れて読めなくなる。
AIアニメでの使い方
モーションコミックの「横流し」はまさにパンである。漫画の発注段階で横長・縦長のコマとして描いておき、build_motion_comic.py で端から端へ流す。人物の顔が枠から切れないよう、始点・終点それぞれで顔が入る位置を確かめる。速度は1枚を横切るのに数秒以上かけるとぶれず読みやすい。
この技法を使ったAIアニメ
- 境界の従者 第1話「守られすぎた当主」1カット目(屋敷と山道)・6カット目(荒れた峠道)
使った理由: 横に広い山の風景を左右に流し、止め絵でも峠の広さと遠さを見せるため。
- 辺境の鑑定士 第1話「錆びた剣の値打ち」1カット目(街の全景)・3カット目(市場)
使った理由: 横に広い風景のコマを左右に流し、止め絵でも街の広さと人の多さを見せるため。
出典
- もっとアニメを知るための撮影講座 第4回 カメラワークを考える
アニメでは縦方向をティルトでなく縦PAN・PAN UP/DOWNと呼ぶ点
- 絵コンテの描き方・絵コンテ用語の早見表(2014年版)
PANはカメラ位置を固定して向きを振る操作という定義
- Ultimate Guide to Camera Movement
パン・ティルトが新しい情報を明かし、高さや規模を伝える点