写真
ある一瞬を切り取って固定するという性質を持つモチーフ。写っているものだけでなく、写っていない余白(撮った人、撮られなかった人)に物語を宿らせられる。
ある一瞬を切り取って固定するという、写真特有の性質を活かすモチーフである。写真の強みは、写っているものそのものよりも、写っていない余白――誰がシャッターを切ったのか、なぜその瞬間を選んだのか、写っていたはずの誰かがいないのはなぜか――に物語を宿らせられる点にある。一枚の古い写真を起点に過去を掘り起こす構成は、記憶や喪失のテーマと極めて相性がよい。
型のバリエーション
- 誰が撮ったのか分からない古い写真の出所を探る、探偵的な使い方。
- 同じ場所・同じ構図で撮られた新旧二枚の写真を対比させる形。
- 写真に写っているはずの人物が、いつの間にか記憶から欠落していることに気づく形。
- カメラマンという職業そのものを軸に、撮る側の視点から物語を組み立てる形。
- SNSやスマートフォンの写真のように、現代的な形で「記録された一瞬」を扱う形。
筋書きの例
- 遺品整理で見つかった一枚の古い写真に写る見知らぬ人物の正体を辿るうち、家族の知られざる過去が明らかになっていく。写真の裏に書かれた一行のメモだけが唯一の手がかりになる。
- かつて恋人同士だったカメラマンとライターが、五年ぶりに再会した宿で、当時二人で撮った写真の話題からゆっくりと距離を縮めていく。当時撮った写真のうち一枚だけ、どちらも手元に残していなかったことに気づく。
- 毎年同じ場所・同じ構図で撮り続けてきた家族写真から、いつの間にか写らなくなった人物の不在に、ある年ようやく気づく。写っていたはずの誰かがいなくなった理由を、家族の誰も口にしてこなかった。
組み合わせやすい題材
テーマの「記憶」とほぼ一体で機能し、プロット型の「再会もの」の再会のきっかけとしても自然に使える。モチーフの「手紙」と並べて、遺品を整理する場面にまとめて登場させることもできる。