帽子
顔の一部を隠しながらも個性を際立たせるという二面性を持つモチーフ。かぶる、外す、渡すという単純な動作に感情の機微を託しやすい。
顔の一部を隠しながらも、その形やかぶり方によってかえって個性を際立たせるという二面性を持つモチーフである。人目を避けたいときには目深にかぶって顔を隠す道具になり、逆に誰かに見つけてほしいときには目立つ色や形の帽子が目印にもなる。かぶる、外す、渡すという単純な動作の一つひとつに、緊張や親愛、決意といった感情の機微を託しやすく、台詞に頼らない演出ができる点がこのモチーフの強みである。
帽子はまた、誰かから譲り受けた形見としても扱いやすい。頭にかぶるものだからこそ身体的な近さを感じさせ、譲り受けた者がそれをかぶる場面には、故人や譲った人物の存在をまとうような特別な意味が生まれる。
型のバリエーション
- 人目を避けるためにかぶっていた帽子を、心を許した相手の前でだけ外す型。
- 誰かから譲り受けた帽子を、大切な場面でかぶる型。
- 目印として使っていた帽子が、待ち合わせや再会のきっかけになる型。
- 帽子をなくした、あるいは飛ばされたことが物語の発端になる型。
- 帽子のかぶり方の癖が、その人物らしさとして周囲に記憶される型。
筋書きの例
- 人前に出るときはいつも目深に帽子をかぶっている人物が、心を許した相手の前でだけ、ふとその帽子を外して素顔を見せる。
- 亡くなった父の形見の帽子を、就職の面接の日にだけかぶることにしている人物が、そのたびに父の存在を近くに感じる。
- 遊園地で風に飛ばされた帽子を偶然拾ってくれた相手との出会いが、その後の二人の関係の始まりになる。
組み合わせやすい題材
舞台の「劇場の楽屋」、テーマの「正体の秘密」と特に相性がよい。舞台の「遊園地の閉園後」と重ねると、風に飛ばされる帽子という具体的な出会いの装置として機能する。