漫画 F-10吹き出し・文字・音
セリフを削る
別名: 説明ゼリフを減らす
絵で伝わることはセリフにしない。声に出して読み、不要な言葉を削って、吹き出しを少なく短くする。
どういう技法か
ネームや下書きの段階でセリフを読み返し、絵や表情で分かることを言わせないように削る技法である。「驚いた!」と言わせるより、驚いた顔を描けば済む。登場人物が互いに知っている事情を説明し合う説明ゼリフも減らす。削ると吹き出しが減り、絵を見せる面積が増える。プロの作家が、声に出して読んで必要性を判断すると語った例がある。
なぜ効くのか
漫画は絵と文字を同時に読むので、同じ情報が両方にあると読者は二度読むことになり、テンポが落ちる。言葉がない部分は読者が絵から意味を補う。自分で補った意味は印象に残りやすい。セリフが短いと、残った言葉の一つ一つが強く響く。読者に想像の余地を残すことが、漫画の読書体験を豊かにするとも説明される。絵に任せることで、コマの中の時間の流れも速くなる。
やり方
- ネームを声に出して読み、言いにくい・長いと感じる所を削る
- 表情や動作で伝わる感情を述べたセリフを消す
- 人物が互いに知っている事実を説明し合うセリフを直す
- 削った情報が本当に絵で伝わるかを、第三者に読んでもらって確かめる
使いどころ
ネームを仕上げる段階で必ず行う。見せ場の前後、アクション場面、感情が高まる場面では特に言葉を減らす。また、初めて読む人に試し読みしてもらい、分からなかった所だけ言葉を足す方法もある。
やりすぎ・失敗
削りすぎると、話の筋や人物の関係が伝わらなくなる。作者の頭の中にある情報を、読者も持っていると思い込まないこと。説明を全部ナレーションに移すのは削ったことにならない。
AIコミックでの使い方
AI生成の絵は表情や手の動きが意図どおりにならないことがあるので、削ったセリフの代わりに絵で伝える情報は、発注書に具体的に書く(例:目を見開き、口を半開き)。生成後に伝わらなければ、セリフを戻すか撮り直すかをlayout JSONの段階で判断する。
この技法を使ったAIコミック
まだありません。
出典
- 青山剛昌先生 漫画術 -フキダシとセリフのテクニック-
自分で声に出して読み、不要なセリフを削るという方法
- Comics and Sequential Art(Poorhouse Press, 1985)
絵と言葉の役割分担についての古典的な解説
- Understanding Comics: The Invisible Art(Tundra Publishing, 1993)
言葉と絵の組み合わせ方の分類と、その役割分担