アニメ G-06音と声
BGMの入りと抜き
別名: 劇伴のタイミング、スポッティング、M入り
音楽をどこで鳴らし始め、どこで止めるかを決める作業。入りと抜きの位置で場面の意味が変わる。
どういう技法か
劇伴(劇中伴奏音楽)は、場面に合わせて使う音楽である。映画音楽では、監督と作曲家が映像を見ながら、どこで曲が始まり、どこで終わり、どの瞬間に合わせるかを決める作業をスポッティングと呼ぶ。日本のアニメでは、監督や音響監督が「こういう場面の曲」を並べた音楽メニューを作り、1クールで30〜40曲ほどを用意し、ダビングで各場面に当てはめる流れが紹介されている。
なぜ効くのか
音楽の入りは、観客に「ここから感情が動く」と知らせる合図になる。逆に音楽が抜けると、場面が現実に引き戻されたように感じられる。Chion は、音楽が場面の情緒に寄り添う場合と、無関心に流れ続ける場合とで、同じ絵の受け取り方が変わると論じている。入りと抜きの位置は、観客の感情の切り替え点そのものである。
やり方
- 台本・絵コンテ上で、音楽を入れる区間と抜く区間を線で示す
- 入りは台詞の直後や視線の変化など、感情が動く瞬間に置く
- 抜きは曲の区切りか、場面の変化点(カット頭や効果音)に合わせる
- 台詞の多い区間では音量を下げるか、旋律の少ない曲を選ぶ
- 同じ曲を繰り返す場合、主題と結び付けて使い所を限る
使いどころ
感情の山、場面の切り替え、シリーズの定番の見せ場。短尺動画では冒頭の数秒で作品の雰囲気を決める役割も大きい。逆に、会話で情報を伝える区間や、静けさを見せたい区間は、音楽を抜く候補として検討する。
やりすぎ・失敗
全編に音楽を敷き詰めると、感情の起伏がなくなる。曲の途中で唐突に切ると、編集の都合が透けて見える。場面の感情と逆の曲を使う場合は、意図が伝わるよう前後の演出を揃える必要がある。
AIアニメでの使い方
fantasist.org の映像は無音で、BGMは付けていない。代わりに、音楽が担う「感情の切り替え」は、カットの尺(遅い寄りは静かな場面、短いカットの連続は高揚)とフェードの使い方で表す。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- Film score
スポッティングで音楽の入り・終わり・尺を決める工程
- アニメ作品の劇伴・BGMの制作の流れについて
音楽メニュー打ち合わせ、1クール30〜40曲、ステム納品
- Chion, Audio-Vision: Sound on Screen(注解)
付加価値、場面に無関心な音楽、音が時間の感じ方を変える点の要約