アニメ G-01音と声
台詞・効果音・音楽の配分
別名: 三要素のバランス、ダイアログ・SE・BGM
映像の音を台詞・効果音・音楽の三つに分け、場面ごとにどれを主役にするかを決めて重ね方を設計する。
どういう技法か
アニメの音は、声優の台詞、効果音(SE)、音楽(劇伴・BGM)の三つで組み立てる。日本のアニメ音響では、アフレコで台詞を録り、音楽と効果音を別に用意し、最後のダビングで三つの量とタイミングを整える。配分とは、場面ごとに「いま何を聞かせるか」を一つ決め、他の二つを従わせることである。言葉を聞かせる場面では音楽を薄く、動きを見せる場面では効果音を立て、感情の山では音楽に任せる、というように主役を入れ替えていく。
なぜ効くのか
Walter Murch は、音を言葉のように意味を読み取る音(符号的)から音楽のように直接感じる音(身体的)までの帯として捉え、同じ種類の音を重ねると二つ半ほどで聞き分けが崩れると述べている。台詞・効果音・音楽は帯の別の位置にあるため、種類を散らせば多層でも聞き取れる。また Chion は、音と絵の組み合わせが単独の和を超える印象を生むと論じた。主役を一つに絞ると、この相乗効果が狙った方向に働く。
やり方
- 場面ごとに主役(台詞/効果音/音楽)を一つ決め、台本の余白に書く
- 台詞のある区間は音楽の旋律や中音域を控えめにする
- 同じ種類の音(台詞同士、似た効果音)は同時に三つ以上重ねない
- 感情の山では台詞を減らし、音楽か効果音に任せる区間を作る
- 最後に通しで聞き、主役が入れ替わる所に不自然な段差がないか確かめる
使いどころ
会話・アクション・感情の山が一話の中で入れ替わる作品全般。特に短尺で情報量が多い場合は、場面ごとの主役を明確にするだけで聞き取りやすさが大きく変わる。音を後から足す制作では、足す前に配分表を作っておくと迷わない。
やりすぎ・失敗
三つを全部同じ強さで鳴らすと、どれも聞こえない音の壁になる。台詞の上に歌もの(歌詞のある曲)を重ねると言葉同士がぶつかる。効果音を全部の動きに付けると、重要な音が埋もれる。
AIアニメでの使い方
fantasist.org のモーションコミックは映像が無音で、音は閲覧者の端末の読み上げ(台詞と語り)だけになる。したがって「台詞」を主役にした設計が前提で、効果音や音楽の役割は字幕の[ ]表記や画面の動き(寄り・揺れ)で補う。方針として音は足さないので、効果音や音楽の役割は字幕と画面の動きで受け持つ。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- Dense Clarity – Clear Density
言葉(符号的)から音楽(身体的)までの帯と、同種の音は約2.5層で聞き分けが崩れる説
- Chion, Audio-Vision: Sound on Screen(注解)
付加価値、場面に無関心な音楽、音が時間の感じ方を変える点の要約
- 現場のお仕事〈アニメ音響制作〉
アフレコ・音楽・SE・ダビングの工程と、音響監督・ミキサーの役割