アニメ D-05作画と動き
つぶしと伸ばし
別名: スクワッシュ・アンド・ストレッチ、squash and stretch
物体を衝突でつぶし、勢いで伸ばして、重さや柔らかさ、速さを表すディズニーの基本原則の一つ。
どういう技法か
ディズニーのアニメーターが体系化した12原則の第一に挙げられる。空中を速く動く物は細長く伸ばし、何かにぶつかった瞬間は平たく広げて描く。このとき体積(見かけの量)は変えないのが約束である。ボールの弾みが代表的な練習課題で、顔の表情や体の動きにも応用される。原則はフランク・トーマスとオーリー・ジョンストンの『The Illusion of Life』(1981)で広く知られるようになった。
なぜ効くのか
形が変わる量から、観客は素材の硬さや重さを推し量る。大きくつぶれる物は柔らかく、ほとんど変形しない物は硬く重く感じる。また、伸びた形は速さの残像のように働き、少ない枚数でも速度感を伝える。体積を保つことで、変形しても同じ物体だと認識され続ける。現実には見えないほどの変形でも、動きの中では自然に受け取られやすい。
やり方
- 動きの頂点・衝突点など、速度が急に変わる位置を特定する
- 速い区間の絵は進行方向に伸ばし、衝突の絵は横に広げてつぶす
- 伸ばしても縮めても見かけの体積が変わらないよう幅と高さを調整する
- 硬い物ほど変形量を小さくして素材感を描き分ける
使いどころ
跳ねる・落ちる・殴るなど衝撃のある動き、驚きや笑いの表情、コミカルな演技。柔らかさや弾力を見せたい小物にも向く。写実寄りの作風でも、変形量を小さくすれば重さの表現として使える。
やりすぎ・失敗
体積が変わると、膨らんだり縮んだりして見えて気持ち悪い。写実的な作風で使いすぎると、キャラクターがゴムのように見える。硬い物にかけると素材感が失われ、世界の約束も崩れる。
AIアニメでの使い方
モーションコミックでは絵そのものは変形させないが、衝撃の瞬間に一瞬だけ拡大し戻す(ズームのパンチイン)ことで、つぶしと伸ばしの弾みを擬似的に出せる。ただし縦横比を変える加工は顔が歪むので避ける。将来、動画生成を使う場合は、誇張した変形を指示すると人物の同一性が崩れやすいので、小物や効果の動きに限って使う。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- Twelve basic principles of animation
12原則の一つとしての定義と体積保持、出典書籍
- 12 Principles of Animation
空中で伸び衝突で平たくなる、体積一定という説明
- The Illusion of Life: Disney Animation
12原則を体系的に紹介したディズニーの原典