漫画 E-05時間・間・テンポ
スローモーション(一瞬を複数コマに割る)
別名: 瞬間の分割、コマで時間を引き延ばす
現実には一瞬の出来事を、複数のコマに細かく割って描き、読者の体感時間を引き延ばす技法。
どういう技法か
投げる・振り向く・落ちるといった一瞬の出来事を、瞬間ごとに複数のコマに分けて描く方法である。McCloudの分類では、瞬間→瞬間の移行にあたり、コマ間の変化が小さく、読者の補う量も少ない。McCloudは、一つの出来事に多くのコマを使うと、長い時間が経ったように感じさせると論じた。縦スクロールの解説では、1コマに複数の動作を詰めず、1コマ1アクションで動きを追わせる方法が紹介されている。
なぜ効くのか
読者はコマ1つを読むのに一定の時間を使う。現実の一瞬にコマを多く割り当てると、読む時間がその一瞬に集中し、体感として時間が引き延ばされる。映画のスローモーションと同じく、細部が見える状態は緊張や重大さを伝える。コマ間の変化が小さいため、読者は動きの細部に注目し、次の瞬間を息をのんで待つ。引き延ばした後の結果のコマが、解放感を生む。
やり方
- 引き延ばす一瞬を1つに決め、前後は普通の速さで描く
- 瞬間を3〜5コマに分け、手・目・物など細部のアップを混ぜる
- 台詞や効果音を減らし、絵だけで時間を流す
- 最後の結果のコマは大きくして、引き延ばした緊張を解放する
使いどころ
勝負を決める一瞬、事故や危機の瞬間、人物が決断する瞬間、大切な物が落ちる瞬間などに使う。物語の中で読者に最も強く覚えてほしい瞬間を選んで使う。多用すると特別さが失われる。
やりすぎ・失敗
大事でない場面に使うと、話が止まって退屈になる。コマ数を多く使うため、ページ数に余裕がないと他の場面が削られる。各コマの変化が分からないと、同じ絵が並んでいるだけに見える。
AIコミックでの使い方
1話15コマ前後では、スローモーションに3〜4コマ使うと大きな比重になるので、1話1回が限度である。発注書では時刻の差を明記し(例:0.1秒後、手が離れる)、人物・背景・光を共通文で固定する。細部のアップ(手・物)は崩れやすい手を避け、物や目のアップを選ぶと安定する。
この技法を使ったAIコミック
まだありません。
出典
- Understanding Comics: The Invisible Art(邦訳『マンガ学』岡田斗司夫監訳、美術出版社)
瞬間→瞬間の移行の定義(第3章のコマ移行の分類)
- McCloud, "Time Frames"
一つの出来事に多くのコマを使うと長い時間を示す
- 『1コマ1アクション』で連続アクションがスムーズに!バトルWebtoonの演出法
1コマ1アクションで連続動作を分けて見せる方法