漫画 A-08構成・ネーム
回想の入れ方と戻り方
別名: フラッシュバック、過去シーン
過去の場面に入るときと現在に戻るときに、枠線・背景・色調・きっかけのコマで切り替わりを読者に知らせる技法。
どういう技法か
回想は、現在の場面の途中に過去の出来事を挿入する構成である。入口と出口を読者が見失わないよう、見た目の約束を決めて使う。Eisnerは、波線などの枠線が回想を示すことが多いと述べている。アドビの解説も枠線の変更で回想を表す方法を挙げる。縦スクロールの解説では、セピアやトーン、色調の変化、コマ枠の外を暗くするといった方法が紹介されている。
なぜ効くのか
漫画は現在と過去を同じ絵柄で描くため、切り替えの合図がないと、読者は過去の出来事を現在のことと誤解する。枠や色調の違いは文字を読む前に目に入るため、読者は内容を読む前に「これは過去だ」と構えることができる。また、入る前と戻った後に同じ人物の同じ表情を置くと、回想がその人物の記憶であることが伝わり、戻り先も迷わない。
やり方
- 回想に入る直前に、人物が何かを見る・思い出す表情のコマを置く
- 回想中は枠線の形、枠外の色、画面の色調のどれかを一貫して変える
- 回想の最初のコマで、場所と時期が分かる背景を見せる
- 戻る時は入る前と同じ人物・同じ構図のコマに戻し、現在の枠に戻す
使いどころ
人物の動機や過去の因縁を明かす場面、謎の答えを見せる場面で使う。連載では、読者が前の出来事を忘れている場合の再提示にも使える。現在の出来事と過去の出来事を対比して、人物の変化を見せたい場面にも向く。
やりすぎ・失敗
回想を何度も細かく挟むと、現在の話の流れが止まる。回想の中にさらに回想を入れる多重構造は、合図を変えないと必ず混乱する。表現の約束を途中で変えるのも避けたい。回想が長すぎると、読者は現在の話を忘れる。
AIコミックでの使い方
layout JSONに回想のコマ範囲を記録し、枠線の種類や枠外の塗り(黒・灰)をcompose側で一括指定できるようにする。発注書では回想コマに「やわらかい光、彩度を落とす、周辺を少し暗く」と共通の文を入れ、色調をそろえる。入口と出口のコマは同じ人物の同じ角度を指定し、顔の一致を優先して確認する。
この技法を使ったAIコミック
- 辺境の鑑定士 第1話「錆びた剣の値打ち」2ページ下段(半年前の倉庫)
使った理由: 鑑定の力がいつ始まったかを説明台詞ではなく回想1コマで見せ、次のページですぐ現在の質屋へ戻すため。
出典
- Comics and Sequential Art
波線などの枠線が回想を示すことが多いと説明
- マンガの上手なコマ割りとは
コマの枠線を変更して回想シーンを表す方法の紹介
- 縦スクロール漫画の教科書:Chapter3 回想・想像シーン
色調やトーンの変化で回想に移る方法(縦スクロール)
- 縦スクマンガのトリセツ・第2話 縦スクマンガの演出(1)
コマ枠を暗くする、セピアにするなどの回想表現