同じ族に属する者は、どこか一箇所を必ず共有している――角の生え方、耳の形、目の色、首筋の紋。この約束を置くと、初対面の者同士でも読者には「同じもの」と分かる。血縁や出自を台詞で説明せずに示せる最短の手段であり、群れを一度に描くときにも効く。族が増えても、共有する一点だけを揃えておけば、そのつど関係を説明し直さずに済む。
だがこの型が本当に働くのは、共通点そのものよりも、そこから外れた個体が現れたときである。族の形を持たずに生まれた者、一箇所だけ違う者、後から失った者――共通点を先に確立してあるからこそ、外れが意味を持つ。逆向きの働きもある。全員が同じ形をしているために、族の一員としか見られない者が、自分だけの何かを求め始める。共通の形は身元を保証すると同時に、隠れることを許さない。
型のバリエーション
- 族の形を持たずに生まれた個体が、居場所を探す型。
- 共通の形を持つがゆえに、どこへ行っても身元を隠せない型。
- 族の証を後から失った者が、仲間と見なされなくなる型。
- 族の外の者がその形を真似て、群れに紛れ込む型。
- 共通の形の由来そのものが、族の来歴を語る型。
筋書きの例
- 一族の誰もが持つはずの印を持たずに生まれた者が、自分の出自を確かめるために旅に出る。
- 顔を隠しても一目で出自の知れてしまう形を持つ人物が、身元を伏せなければならない立場に置かれる。
- 事故で族の証を失った者を、それでも仲間として扱えるかどうかを、周りの者たちが試される。
組み合わせやすい題材
モチーフの「進化・成長する系統」と組めば、縦に伸びる変化と横に広がる共通点が噛み合い、一体の生き物から一族の物語へ広げられる。モチーフの「影絵で見分ける」と重ねると、共通の形が遠目の手がかりとして働き、外れた個体だけが見分けられる。関係性の「双子」「兄弟姉妹」は、この設定を人の側で扱う型であり、テーマの「世代の継承」は共有された形を受け渡す側から書いた型にあたる。