偽りの家族
血のつながりがないまま、事情によって家族を演じる、あるいは家族のように暮らすことになる関係性。演技として始まった関係に本物の情が宿っていく過程が読みどころになる。
血のつながりがないまま、何らかの事情によって家族を演じる、あるいは結果として家族のように暮らすことになる関係性である。「偽装関係」が主に恋人・夫婦を演じることに焦点を当てるのに対し、こちらは親子・兄弟姉妹・大家族といった、より広い単位の家族関係を対象にする。演技として始まった関係の中に、いつしか本物の情が芽生えていく過程が、この関係性の核になる。
この関係性を描く際は、なぜ本物の家族ではいられないのかという事情を具体的に設計しておくとよい。相続や制度上の理由で家族を装う必要がある、あるいは寄る辺のない者同士が生活を共にするうちに自然と家族的な役割を担うようになる――動機の違いによって、物語の温度や葛藤の質が変わる。
型のバリエーション
- 遺産相続や制度上の理由で、期間限定の疑似家族を演じることになる型。
- 身寄りのない者同士が、生活を共にするうちに自然と家族のような役割分担を築いていく型。
- 偽りの家族を演じる中で、本物の家族には言えなかった本音を吐露できるようになる型。
- 偽りだったはずの関係が、当事者の誰かの死や危機によって本物の絆として証明される型。
- 偽りの家族を演じていたことが第三者に露見し、関係の意味を問い直される型。
筋書きの例
- 天涯孤独の子どもたちを一時的に一つの家に集め、疑似家族として育てる制度のもとで暮らす子どもたちが、それぞれの事情を抱えながらも、いつしか本物の兄弟のような結びつきを築いていく。
- 遺産相続の条件として「家族として一年間同居すること」を課された赤の他人同士が、演技のつもりだった食卓の時間に、次第に本物の団らんの感覚を覚え始める。
- 身寄りのない老人と、居場所を失った若者が、互いに家族を名乗ることで公的な支援を受けられるようになる。演技として始めた関係が、老人の最期を看取る本物の家族の情に変わっていく。
組み合わせやすい題材
プロット型の「偽装関係」「遺言・遺産の条件」と組み合わせると、偽りの関係が生まれる具体的な事情に説得力を持たせやすい。関係性の「兄弟姉妹」と重ねれば、血縁の有無を超えた家族の定義そのものを主題として掘り下げられる。