アニメ G-03音と声
口パクと台詞の合わせ方
別名: リップシンク、クチパク、パク
台詞に合わせて口を動かす作画技法。日本のテレビアニメは3枚の口で、フル作画は音素ごとの口形で合わせる。
どういう技法か
口パクは、キャラクターが話すときの口の動きである。日本のリミテッドアニメーションでは、閉じ口・中口・開き口の3枚を入れ替えて表現するのが基本とされる。アフレコでは絵が先にあるため、声優は画面に出るボール(役名入りの四角)や色線を目安に台詞を当て、口の動きの尺に言葉を収める。一方、欧米のフル作画や3DCGでは、音素ごとに約10種の口形を使い分ける方式が広く知られる。
なぜ効くのか
人は話し声と口の動きのずれに敏感で、ずれると声が別の場所から聞こえるように感じ、芝居への没入が途切れる。ただし観客は口の形を細かく読んでいるわけではなく、開閉のタイミングと台詞の始まり・終わりが合っていれば、3枚でも十分に「話している」と受け取る。日本のテレビアニメが少ない枚数で成立するのはこのためであり、合わせるべきは形より時間である。
やり方
- 台詞の文字数から尺を見積もる(目安として1文字あたり数コマ)
- 台詞の頭で口を開け始め、語尾で閉じ口に戻す
- 息継ぎや句読点の位置では口を閉じ、台詞の間を作る
- 画面外の台詞(オフ)は口パク不要なので、長い説明はオフに回す
- 録音後に音と口の開閉を並べて見直し、ずれを数コマ単位で詰める
使いどころ
キャラクターの顔が見えている会話カット全般。特に顔の大きなアップではずれが目立つため丁寧に合わせる。逆に引きの画や後ろ姿では口元が小さく、厳密に合わせなくても成立するので、手間を配分する目安にもなる。
やりすぎ・失敗
口パクの尺より台詞が長いと、声優が早口になるか、声が口の動きより長く残る(現場用語で「こぼす」)。逆に短いと口だけ動いて声がない状態になる。長台詞を顔のアップで口パクさせ続けると、動きの少なさが目立つ。
AIアニメでの使い方
fantasist.org のモーションコミックは静止画なので口パクは作れない。そのため台詞のある区間は、顔の寄りを避けて引きや後ろ姿、手元のカットに当てる(画面外の声として聞かせる)か、話者の顔にゆっくり寄るだけに留める。将来、動画生成AIで口を動かす場合は、音声と口の開閉が合っているかをコマ送りで検品し、実在人物に似た顔では使わない。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- 口パク(用語集)
リミテッドでは閉じ口・中口・開き口の3枚を入れ替える
- アフレコ
未完成映像では役名入りのボールや色線で台詞の入りを示す点
- 実写のドラマや映画とは違う?「アニメのセリフ」ができるまで
脚本→絵コンテ→アフレコ台本の流れと、口パクの尺の目安
- Preston Blair phoneme series
音素ごとに約10種の口形を使い分けるフル作画側の方式
- 声優が演じる「セリフ」の種類、録り方にまつわる用語
オン・オフ、こぼし、巻くなどアフレコ現場の尺の用語