アニメ E-03撮影・特殊効果
ブラー・被写界深度(ピン送り)
別名: ボケ、DOF、ピン送り、フォーカス送り、前ピン、後ピン
画面の一部をぼかして焦点の合う場所を決め、途中で焦点を移すピン送りで視線を誘導する撮影処理。
どういう技法か
カメラのレンズは、ある距離にしか焦点が合わず、前後はぼける。この被写界深度をアニメの撮影で模倣し、手前や奥の素材にぼかしをかけて焦点を表す。手前に焦点を合わせることを前ピン、奥を後ピンといい、途中で焦点を一方から他方へ移すことをピン送りと呼ぶ。アニメは古くからレンズ効果を模倣してきたとされ、デジタル化でぼかしや周辺減光、色収差などが扱いやすくなった。
なぜ効くのか
人の目はぼけた部分より、くっきりした部分を先に見る。焦点の位置を決めることは、画面の中で見るべき所を指定することになる。ピン送りは、カットを割らずに注目を人物から人物へ、人物から物へ移せる。また、手前と奥のぼけの差は、平面の絵に奥行きを与える。レンズ効果は空間の表現、緊張感、アニメが作られた画であることの強調など、複数の役割を持つと論じられている。
やり方
- 素材を手前・中間・奥の三つの層に分けて重ねる
- 焦点を合わせる層を決め、それ以外にぼかしをかける
- ピン送りでは、ぼかしの強さを時間で入れ替える
- ぼかしの強さを画面の距離感と矛盾しないよう調整する
使いどころ
会話で話者が替わる瞬間、物に気づく瞬間、奥行きのある風景、夜景の点光源。観客の注意を一点に集めたいとき。カットを割らずに、視線の対象を切り替えたいときに向く。
やりすぎ・失敗
ぼかしが強すぎると、何が写っているか分からなくなる。すべてのカットに使うと、どれも同じ印象になる。距離の関係と合わないぼかしは、模型のように小さく見える原因になる。
AIアニメでの使い方
AIコミックのコマ絵は一枚の画像なので、層を分けたぼかしはできない。モーションコミックでは、画面全体をわずかにぼかした状態から戻す(ぼけから焦点へのフェード)でピン送りに近い効果が出る。画像生成の段階で「背景をぼかした浅い被写界深度」を指定しておけば、寄るだけで視線誘導が働く。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- 映画・映像 業界用語辞典「ピン送り」
前ピン・後ピンと、焦点を移すピン送りの定義
- アニメはいかにレンズの効果を模倣してきたか
アニメがレンズ効果を模倣してきた歴史と役割
- もっとアニメを知るための撮影講座 第6回 エフェクトを考える(2)
被写界深度・周辺減光・色収差などレンズのシミュレーション