漫画 D-01構図・カメラ
ショットサイズ
別名: 画面サイズ、ロング・ミドル・アップ
人物をどこまで画面に入れるか(全身・胸から上・顔・目元)を決め、そのコマで見せたい情報を選ぶ基本の技法。
どういう技法か
コマの中で被写体をどの大きさで切り取るかの選択である。背景ごと全身を入れるロング、腰や胸から上のミドル(バストアップ)、顔が主役のアップ、目や手など一部だけを大きく見せるクローズアップに大別される。映像のフレームサイズの考え方をそのまま漫画に持ち込んだもので、同じ台詞でもサイズが変われば伝わる情報が変わる。新人向け講座では、ロングは状況説明、アップは感情の伝達、ミドルは人物同士の関係を見せるのに向くと整理されることが多い。
なぜ効くのか
読者の注意は画面の中で大きく描かれたものに向かう。ロングは人物を小さくする代わりに場所・距離・人数を一度に伝え、アップは表情以外の情報を削って感情に注意を集中させる。つまりサイズの選択は、そのコマで何を読ませ、何を読ませないかという情報の取捨選択である。講座でも、各コマで見せたいものに優先順位を付けてから構図を決めるよう説かれている。
やり方
- コマごとに「このコマで一番伝えたいこと」を一語で書き出す
- 場所・位置関係ならロング、関係や会話ならミドル、感情ならアップを当てる
- 小物や手の動きが鍵ならクローズアップで一部だけを切り出す
- 同じサイズが3コマ以上続いたら、どれか一つを別のサイズに変える
使いどころ
場面の頭(ロング)、会話の中盤(ミドル)、感情が動く瞬間や決め台詞(アップ)など、ほぼ全てのコマで判断が要る。ネームの段階で各コマのサイズを記号で書き込んでおくと、単調さに気付きやすい。
やりすぎ・失敗
顔のアップばかりが続く「顔漫画」は、場所も位置関係も伝わらず読者が迷う原因として新人講座でよく挙げられる。逆にロングばかりでは感情が遠くなる。サイズは内容から決め、描きやすさで決めない。
AIコミックでの使い方
発注書の冒頭に「ロングショット:人物は全身、画面の下3分の1、背景の路地が主役」のようにサイズ名と人物が占める割合を併記する。サイズ名だけだと解釈がぶれやすい。アップは顔の崩れが目立つので、表情と目線を細かく指定する。layout JSON ではロングのコマを大きめ、アップのコマを小さめに取ると画面の密度が揃う。
この技法を使ったAIコミック
- 境界の従者 第1話「守られすぎた当主」6ページ下段(腕の痣のクローズアップ)
使った理由: 従者が隠していた怪我を、台詞より先に大写しで見せ、当主が気づいた理由を読者にも同時に渡すため。
出典
- マンガ構図の考え方│基本とコツを覚えて顔マンガから卒業しよう!
アップ・ミドル・ロングの役割の整理と、見せたいものの優先順位付け
- Camera Conventions in Graphic Novels
クローズアップは感情の親密さ、広い画は空間把握に効くとの整理
- 河原和音先生に聞く!実践ネーム塾 第11回 演出
アップとロングを映画的に使い分け、大事なコマを大きくする指導