漫画 B-03コマ割り
断ち切り
別名: タチキリ、裁ち落とし
コマの絵を版面の外、紙の端まで伸ばして描く技法。画面に広がりと迫力を与える。見せ場や広い風景に使う。
どういう技法か
通常のコマは版面(印刷される枠の内側)の中に収めるが、断ち切りは絵を紙の端(裁断される位置)まで延ばして描く。小学館の新人向け講座は、背景をきちんと描き込んだりキャラを大きく描いたりできる利点を挙げ、ほぼ全ページで使う作家もいると紹介している。MediBangの講座は、印象付けたい場面に使い、前後に普通のコマを挟むと効果が強まるとする。
なぜ効くのか
枠で囲われていない絵は、紙の外にも世界が続いているように感じられ、画面が広く見える。McCloudは、枠の外へ流れ出す絵が時間に縛られない印象を生むと論じた。読者にとってページの端は普段は余白であるため、そこまで絵があると目立ち、周りの枠つきのコマとの対比が生まれる。ただし綴じ側や裁断位置の近くは見えにくく、使う位置に注意が要る。
やり方
- 断ち切りにするのは、広さや迫力を見せたい大ゴマに限る
- 絵は裁断位置より外まで描き、切れても困らない構図にする
- 台詞や重要な絵は版面の内側に収め、印刷のずれで切れないようにする
- 綴じ側(ノド)の断ち切りは読みにくいので避ける
使いどころ
広い風景、巨大な物、迫力のあるアクション、めくり直後の驚きの絵で使う。見開きゴマと組み合わせることも多い。雑誌や単行本では印刷時に端が数ミリ切られるため、切れても困らない絵に限る。電子版では端の見え方が端末によって変わる。
やりすぎ・失敗
ノド側に断ち切りを使うと、絵が綴じ目に隠れて読みにくい。台詞を紙の端近くに置くと印刷で切れる。多用すると、どのコマも同じ強さになり、特別感がなくなる。電子版では裁断されず、端の余白が見えることもある。
AIコミックでの使い方
compose_comic_page.pyで断ち切りを扱うなら、layout JSONでコマ座標をページ外まで伸ばせるか、余白ゼロのコマとして指定する。発注書では「画面の端は切れてもよい、主役は中央寄り」と書き、端に重要物を置かない。フキダシは内側の安全域に置く。スマホ表示では画面端の余白の見え方も確認する。
この技法を使ったAIコミック
まだありません。
出典
- Understanding Comics: The Invisible Art(第4章 Time Frames/邦訳『マンガ学』美術出版社、1998)
枠を越えて流れ出す絵が時間を超えた印象を与える(McCloud)
- コマ割りについて(後編)
タチキリの利点と、ノド側では使わない方がよいとの注意
- 漫画のコマ割り講座【応用編】
タチキリの前後に普通のコマを挟むと印象が強まる