各話プロット
各話プロット ― 第1巻 全12話(一話に一隻)
第1巻12話の起承転結。一話に一隻、船ごとに一つの違和感。塩の帆船から始まり、同じ船が戻ってくる第12話まで。先の筋。
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一話の構造は「船が来る → 手順を踏む → 手順の途中で一つ矛盾が見つかる → 通すか止めるか → 岸で誰かが怒る、または黙る」。
| 話 | 題 | 船 | 起きること | 旗 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 湿った塩 | 塩の帆船 | 熱病の疑いで止めた船に病人がいない。塩が湿っている。理由が分からないまま黄旗。荷主ベルントが怒鳴り込む | 黄 |
| 2 | 一人多い | 河上りの平底船 | 名簿より船員が一人多い(決まりでは黄旗)。イグナスは通せと言う。セラは決まりより一段重く赤旗にする。隔離島でホルダに「止めるなら最後まで見ろ」と言われる | 赤 |
| 3 | 匂いの下 | 南の香料船 | 香料の匂いが強すぎる。下に、何かを隠す匂い。開けると、病の匂いではなく、腐った書物 | 白 |
| 4 | 通せない小舟 | 亡命者の小舟 | 病ではないが、書類が無い。決まりでは黒旗。セラは初めて決まりを曲げて、黄旗にする | 黄 |
| 5 | 検めてはいけない船 | 王家の御用船 | 検疫免除の船。セラは決まりどおり検めない。だが脈を取らずに目だけを見て、一人の乗客が病だと分かる。言わない | 白 |
| 6 | 十年前の封印 | 沈没船の引き揚げ荷 | 十年前に沈んだ船の荷に、セラの封印がある。セラが通した船。手帳の破れた頁 | 赤 |
| 7 | 氷の中 | 北の氷船 | 氷の塊の中に、人の形。病ではない。誰が、なぜ | 赤 |
| 8 | 三百の脈 | 巡礼の客船 | 三百人の脈を一日で取る。手順の話だけで一話。最後の一人だけ、脈が飛ぶ | 黄 |
| 9 | 日付 | 検疫所そのもの | ミレと書類を突き合わせる。月に一隻、日付が一日ずれている船がある。内部の誰かが通している | ― |
| 10 | 誰もいない | 無人の帆船 | 船員が全員いない。荷は無事。第1話の船と同じ船主。乗員のいない船は河へ戻せないので、隔離島へ曳く | 赤 |
| 11 | 上番官の船 | イグナスの船 | 十年前、イグナスが乗っていた船の話。セラを三番官に置き続けた理由。日付をずらしていたのはイグナス | ― |
| 12 | 湿った塩(再) | 塩の帆船 | 第1話の船が戻る。塩は湿っている。セラは樽を開ける前に、分かっている。通すか、止めるか。ホルダと一緒に隔離島まで付いていく | ? |
第1話「湿った塩」の起承転結
- 起 夜明けの中洲。三番官セラが桟橋で旗を持って待つ。塩の帆船が着く。船名簿の日付が出港地の記録より一日遅い。セラは船員の手の荒れ方と積み荷の縄の湿りから、船が途中で一晩どこかに寄ったことを手順だけで突き止める(小さな謎は解ける)。脈と目、荷の外側は、全部きれい
- 承 荷の中身。塩の樽を一つ開ける。塩が湿っている。塩は湿らない荷だ。河熱の疑いをつけて黄旗
- 転 岸で荷主ベルントが怒鳴り込む。三日止めれば塩は売り物にならない。ベルントは荷の中身の話を一度もしない。セラは黙っている
- 結 三日後、病人は出ない。塩は乾いている。船は通る。セラは手帳に「塩、湿り。理由不明。日付、一日」と書く。その頁の前の頁が、破ってあるのを、指でなぞる