伏線表
伏線表 ― 湿った塩と、十年前の船
第1話の「湿った塩」が何だったか、十年前にセラが止められなかった船と上番官イグナスの関係、検疫所の内部の不正。第1巻で置く十本と回収先。全部先の筋。
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真相(読者には第11話で半分、第12話で全部)
十年前、セラが十八で入所した年、一隻の塩の帆船を「通した」。名簿も脈も荷も、全部きれいだった。だがその船は、隔離島の下流で人を一人降ろしていた。降ろされた人は病ではなく、追われていた人だった。船を通したのはセラだが、通せと目で指示したのは、当時三番官でセラの指導役だったイグナスだった(船に乗るのは三番官。イグナスは同じ船に一緒に乗っていた)。その帆船は、同じ年の冬、別の航海で河口の浅瀬に沈んだ(第6話の引き揚げ荷)。
イグナスは、追われていた人を逃がすために船を使った。その人は、いまも東岸で生きている。塩商人ベルントがそれを知っていて、十年間、塩の帆船で同じ手を使い続けている(人を運んでいる)。第1話の「湿った塩」は、人が塩の樽の中にいた跡だ。
セラは第1話でそれに気づかず、病の疑いで黄旗(三日止め)にした。三日のあいだに、船は夜のうちに人を小舟で上流へ逃がした。だから三日後に樽を開けても、人はいない。塩が湿っていただけが残った。第12話で同じ船が戻ってきたとき、セラは樽を開ける前に気づく。そして、通すか止めるかを、初めて自分で決める。
第1巻で置くもの
| No | 伏線 | 置く話 | 回収する話 |
|---|---|---|---|
| 1 | 塩が湿っている。理由が分からないまま止める | 1 | 12(人が樽の中にいた) |
| 2 | イグナスがセラを十年間、三番官のまま置いている | 1 | 11(書類の側に回すと、日付のずれをセラが「見て」しまうから) |
| 3 | セラの手帳の最初の頁が、破ってある | 1 | 6(十年前の船の頁) |
| 4 | ベルントが怒鳴り込むが、荷の中身の話を一度もしない | 1 | 12 |
| 5 | ホルダの「止めるなら最後まで見ろ」 | 2 | 12(セラが隔離島まで付いていく) |
| 6 | 名簿と顔が合わない船員が、なぜか通せと言われる | 2 | 11(イグナスの手口) |
| 7 | 沈没船の荷に、十年前の封印。印はセラのもの | 6 | 11 |
| 8 | 書類の日付が一日ずれている船が、月に一隻ある | 9 | 11(イグナスが通す船) |
| 9 | 無人の帆船の荷が無事 | 10 | 12(人を降ろしたあとの船は、いつもこうなる) |
| 10 | 第1話の船名簿の日付が一日ずれている(船は出港地で一晩どこかに寄った) | 1(セラが手順だけで突き止める。解ける小さな謎) | 9(月に一隻、同じずれ)→ 11 |
長期の到達点(読者には見せない)
- 第2巻: セラが二番官になる。書類の側から、通す船を選ぶことになる
- 第3巻: 検疫所そのものが王家と対立する。止めるべきものが、船ではなくなる
- 最終的な問い: 止めることと、通すこと。どちらが人を守るのか