砂の器
- 作者
- 松本清張
- 発表
- 1960–1961年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
蒲田駅の操車場で起きた殺人事件を追う刑事が、被害者の過去と新進音楽家の隠された出自にたどり着く長編。方言の分布という手掛かりから宿命の物語を掘り起こす構成で、社会派推理の代表作となった。
1960年から1961年にかけて連載された。地道な捜査の物語と、過去を消して成功した男の物語が並走し、東北訛りという一点から出自の秘密が手繰り寄せられていく。犯行の動機に病気への差別という社会的な背景を置いたことで、犯人を単なる悪人ではなく時代の被害者としても描き、謎解きの先に社会への問いが残る構成を完成させた。父子の放浪の記憶を軸にした映画版とともに、戦後ミステリの記念碑である。
この作品が使っている物語の型
- 正体の秘密登場人物が自分の本当の姿・出自・過去を隠して生きているテーマ。読者にだけ明かすか、最後まで隠すかで、サスペンスの種類が変わる。
- 依頼人と探偵事件の解決を依頼する側とそれを引き受ける側という、限定された期間の契約関係から始まる関係性。事件が終われば終わるはずの関係に、それ以上の何かが芽生えるかが焦点になる。