ジーキル博士とハイド氏
Strange Case of Dr Jekyll and Mr Hyde
- 作者
- ロバート・ルイス・スティーヴンソン
- 発表
- 1886年
- 国
- イギリス
- 媒体
- 小説
高潔な紳士ジーキル博士と、ロンドンの闇で凶行を重ねる醜怪な小男ハイドの関係の謎を、弁護士アタスンが追う中編。一人の人間の中の善と悪の分離という着想で、二重人格ものの原点となった。
1886年に刊行された。ジーキルとハイドが同一人物であるという真相は今日では誰もが知るが、原作は外部の観察者による調査の物語として構成され、最後に置かれた本人の手記で全貌が明かされる推理小説的な設計を持つ。薬によって内なる悪を解放するという着想は、人格の分裂・変身・抑圧された欲望を扱う物語の共通言語となり、二つの名前は分裂した自己を指す普通名詞として定着した。
この作品が使っている物語の型
- 二重生活表の顔と裏の顔、あるいは二つの場所・二つの名前を同時に生きる人物を描くテーマ。切り替えの瞬間そのものを見せ場にできるかが設計の鍵になる。
- 薬と毒同じ知識・技術が人を救うことにも害することにも使えるという性質を持つモチーフ。調合する者の意図と結果のずれが緊張を生む。
- 正体の秘密登場人物が自分の本当の姿・出自・過去を隠して生きているテーマ。読者にだけ明かすか、最後まで隠すかで、サスペンスの種類が変わる。