破戒
- 作者
- 島崎藤村
- 発表
- 1906年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
被差別部落出身であることを隠せという父の戒めを守って教師として生きる瀬川丑松が、出自を公にして闘う先輩の生き方に揺さぶられ、告白へ向かう長編。日本自然主義文学の出発点とされる。
1906年に自費出版で刊行された。秘密を抱えて生きる緊張を心理の推移として克明に追い、告白という行為をクライマックスに置く構成は、隠された出自をめぐる物語の日本における原型となった。差別という社会問題を正面から扱った最初期の近代小説であり、発表当時から議論を呼び続けてきた。個人の内面の問題と社会制度の問題が不可分であることを示した点で、日本の社会派文学の源流に位置づけられる。
この作品が使っている物語の型
- 正体の秘密登場人物が自分の本当の姿・出自・過去を隠して生きているテーマ。読者にだけ明かすか、最後まで隠すかで、サスペンスの種類が変わる。
- 断罪の場多くの目がある席で、罪や不正が明かされる舞台。裁定、査問、公開の集まりなど形は様々だが、説明台詞の羅列に陥りやすく、場を動かす手続きと視線の配置を設計しておく必要がある。