世界の中心で、愛をさけぶ
- 作者
- 片山恭一
- 発表
- 2001年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
高校時代に白血病で恋人アキを失った朔太郎が、彼女の声の残るカセットテープとともに過去をたどる恋愛小説。映画化・ドラマ化を機に爆発的に売れ、2000年代の純愛ブームの中心となった。
2001年に刊行された。死別の悲しみの只中ではなく、年月を経てなお終わらない喪失を現在時制の旅として描き、録音された声という装置で死者の存在を物語の中に持続させる。刊行当初は静かな出足だったが、2004年の映画化を機に社会現象的なベストセラーとなり、恋人の不治の病を軸にした「純愛もの」という型を出版・映像の両面で再興させた。その流行の功罪も含めて、2000年代の物語を語る上で外せない一冊である。
この作品が使っている物語の型
- 余命もの余命を宣告された人物が、残された時間をどう使うかを描くプロット型。死そのものより、限られた時間だからこそ選び直せる生き方に焦点を当てる。
- 声・録音文字では伝わらない抑揚や間そのものが記録される音声というモチーフ。もう会えない相手の声が、テープや留守番電話の中にだけ残っているという設定と相性がよい。
- 記憶覚えていること・忘れること・思い出し方そのものを主題にするテーマ。記憶の欠落や改変を扱う場合、何が「真実」かを最後にどう定めるかが設計の核になる。