華氏451度
Fahrenheit 451
- 作者
- レイ・ブラッドベリ
- 発表
- 1953年
- 国
- アメリカ
- 媒体
- 小説
書物の所持が禁じられ、発見された本を焼くことが消防士の仕事となった未来で、焚書官モンターグが本の側へ寝返っていく長編。思考を奪う娯楽に満ちた社会を描き、ディストピア文学の古典となった。
1953年に刊行された。検閲が権力の強制ではなく、考えたくない大衆自身の欲望から完成したという診断が本作の鋭さであり、壁面テレビと耳栓ラジオに満ちた家庭の描写は、後年のメディア環境の予言として読み直され続けている。一冊ずつ本を暗記して森に生きる人々という結末の像は、書物の本体が紙ではなく記憶と人であることを示す発明で、文化の破壊と継承を扱う物語の決定的なイメージとなった。
この作品が使っている物語の型
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。
- 傷んだ本何度も読み返されて背表紙が割れ、ページが黄ばんだ一冊の本というモチーフ。書かれた内容よりも、読まれ続けた痕跡そのものに意味が宿る。
- 記憶覚えていること・忘れること・思い出し方そのものを主題にするテーマ。記憶の欠落や改変を扱う場合、何が「真実」かを最後にどう定めるかが設計の核になる。