地獄変
- 作者
- 芥川龍之介
- 発表
- 1918年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
絵のためなら何も惜しまぬ絵師良秀が、大殿から地獄変の屏風を命じられ、見たものしか描けぬ性ゆえに惨劇の果てに傑作を完成させる短編。芸術と人倫の相克を突き詰めた芥川中期の代表作。
1918年に発表された。芸術の完成のためには何を犠牲にしてよいのかという問いを、これ以上ない残酷な形で突きつけ、完成した屏風の圧倒的な出来栄えが犠牲を正当化するのかどうかを、語り手の曖昧な伝聞に包んで読者へ委ねる。大殿の意図も良秀の内心も断定されないまま進む語りの設計が本作の要であり、芸術家小説の極北として、また信頼できない語り手の技法の古典として読み継がれている。
この作品が使っている物語の型
- 成長と代償人物が何かを得るために別の何かを手放さざるを得ないという交換の構造を扱うテーマ。強く賢くなる過程で失われたものの重さを描けるかが鍵になる。
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。