アンナ・カレーニナ
Анна Каренина
- 作者
- レフ・トルストイ
- 発表
- 1875–1877年
- 国
- ロシア
- 媒体
- 小説
高官の妻アンナが青年将校ヴロンスキーとの恋に身を投じ、社交界から孤立していく悲劇と、地主リョーヴィンが結婚と労働に生の意味を探す物語を並走させる長編。心理描写の精密さで写実小説の頂点とされる。
1875年から1877年にかけて連載され、完全な単行本は1878年に出た。破滅へ向かうアンナの線と、迷いながら生活を築くリョーヴィンの線を交互に進める二重構造により、同じ社会の中で愛がどう裁かれ、どう育つかを対照的に描く。不倫そのものより、世間の視線が人をどう追い詰めるかに焦点を置いた点で、禁じられた関係を扱う物語の基準となった。冒頭の一文の書き出しは、家族を描く物語の枕として世界中で引かれている。
この作品が使っている物語の型
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。
- 断罪の場多くの目がある席で、罪や不正が明かされる舞台。裁定、査問、公開の集まりなど形は様々だが、説明台詞の羅列に陥りやすく、場を動かす手続きと視線の配置を設計しておく必要がある。
- 三角関係一人を巡って二人が対立する、あるいは一人が二人の間で揺れるプロット型。誰が「悪者」にもならない設計にできるかが、物語の後味を決める。