ドリアン・グレイの肖像
The Picture of Dorian Gray
- 作者
- オスカー・ワイルド
- 発表
- 1890年
- 国
- イギリス
- 媒体
- 小説
美貌の青年ドリアンが、自分の代わりに肖像画が老いればよいと願ったことから、堕落の刻印をすべて絵に引き受けさせて若さのまま生きる長編。美と倫理をめぐる唯美主義の代表作にして、著者唯一の長編小説。
1890年に雑誌掲載され、翌年増補されて刊行された。罪の痕跡が本人ではなく一枚の絵に蓄積していくという装置は、外面と内面の乖離を物理的な像として可視化する発明であり、隠された悪徳の物語の頂点となった。屋根裏に隠された肖像画は、見られてはならない真実の自己の象徴として、以後の文学と映像に反復されるイメージである。快楽主義の危うさを描きながら文体そのものは快楽に満ち、その矛盾も含めてワイルドの美学の記念碑となっている。
この作品が使っている物語の型
- 一枚の絵を巡って一枚の絵画をきっかけに、複数の人物の過去や思惑が交差していくプロット型。絵そのものよりも、それを巡る人々の関わり方に物語の重心が置かれる。
- 二重生活表の顔と裏の顔、あるいは二つの場所・二つの名前を同時に生きる人物を描くテーマ。切り替えの瞬間そのものを見せ場にできるかが設計の鍵になる。
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。