ボヴァリー夫人
Madame Bovary
- 作者
- ギュスターヴ・フローベール
- 発表
- 1857年
- 国
- フランス
- 媒体
- 小説
田舎医師の妻エンマが、小説で夢見たような恋と贅沢を現実に求めて不倫と借金を重ね、破滅していく長編。作者の徹底した客観描写の方法とともに、近代リアリズム小説の出発点とされる。
1856年に雑誌連載され、風俗紊乱の咎で起訴と無罪判決を経て1857年に刊行された。物語に酔う読者だったエンマ自身が、物語のように生きようとして現実に敗れるという構造を持ち、フィクションが人生に及ぼす作用そのものを主題化した最初期の小説といえる。作者が語り手の判断を消し、細部の描写だけで人物を裁かず提示する方法は「ボヴァリスム」という語とともに、以後の小説の書き方を根本から変えた。
この作品が使っている物語の型
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。
- 集団の中の孤独大勢に囲まれていながら誰にも本心を明かせない孤独を描くテーマ。物理的な独りではなく、心理的な隔たりに焦点を当てる。