アニメ H-05芝居・演技
感情のピークを大きいカットで見せる
別名: アップ、クローズアップ、感情の山
物語の感情が最も高まる瞬間に、顔のアップなど画面を大きく使うカットを当て、観客の感情を集中させる。
どういう技法か
感情のピークとは、場面や作品の中で人物の気持ちが最も強く動く瞬間である。そこに顔のアップや、画面いっぱいの印象的な構図(大きいカット)を当てるのが一般的な演出である。Walter Murch は、編集の判断基準として感情を最優先し、物語・リズムなどより重く見るべきだと述べ、その配分を「6つのルール」としてまとめた。感情の山は、作品のカット割りの中心に据える場所である。
なぜ効くのか
顔が画面で大きいほど、観客は表情を速く正確に読み取れる。James Cutting らの研究では、顔が大きいカットほど短くても感情が伝わり、雑多な背景は感情の読み取りを遅らせることが示された。また、大きいカットは画面の情報を一つに絞るので、観客の注意がそこに集中する。前後を引いたカットにしておくと、対比でさらに強く感じられる。
やり方
- 作品や場面の中で、感情のピークを一か所だけ決める
- ピークの前は引きや中くらいのカットで、大きいカットを温存する
- ピークでは顔のアップか、感情を象徴する構図を使う
- ピークのカットは他より少し長めに見せ、余韻を残す
- ピーク直後に引きのカットを置いて、観客を落ち着かせる
使いどころ
決断、告白、喪失、勝利など、物語の転換点。1〜2分の短い作品でも、山を一つ作ると印象に残る。シリーズ作品では、各話の山を一か所ずつ決め、そこに最も手間をかけるという配分の目安にもなる。
やりすぎ・失敗
アップを乱発すると、どこがピークか分からなくなる。ピークの表情が作画的に崩れていると、逆効果になる。感情の積み上げがないまま大きいカットを見せても、観客は置いていかれる。
AIアニメでの使い方
fantasist.org のモーションコミックでは、ピークのコマに向けて、それまでの寄りを控えめにしておく。ピークのコマで大きく、ゆっくり寄り、止めてから字幕を出す。コマ絵自体が小さい表情しかない場合、寄りすぎると画質が落ちるので、元画像の解像度で寄れる範囲を確かめる。画像生成で表情のアップを作る場合は、他のコマと同じ人物に見えるかを並べて確認する。
この技法を使ったAIアニメ
まだありません。
出典
- In the Blink of an Eye(第2版)
感情を最優先し、感情51%・物語23%・リズム10%・視線7%・平面5%・空間4%と重みづけた「6つのルール」
- The Rule of Six — Walter Murch's In the Blink of an Eye
感情を最優先し、以下を重要度順に並べる6つの基準の解説
- Here's looking at you, kid: Filmmakers know how we read emotions
顔が大きいほど感情の読み取りが速く、カットを短くできる