漫画 H-04人物の演技
身振り・姿勢で気持ちを見せる
別名: ボディランゲージ、しぐさ、体の演技
顔だけでなく、背中の丸まり・肩の位置・重心・体の向きなど全身の形で、人物の感情と状態を伝える技法。
どういう技法か
人物の姿勢や身振りに感情を込める技法である。Eisnerは『Comics and Sequential Art』の表現解剖の章を後に一冊の技法書『Expressive Anatomy for Comics and Narrative』に発展させ、身体の文法として物語での体の使い方を論じた。McCloudも『Making Comics』で表情と並べて身体表現を扱っている。背を丸める、肩を落とす、胸を張る、相手から体をそらすなどが典型である。
なぜ効くのか
全身の形は顔より大きく、遠目にも読み取れる。そのため表情が見えないロングや後ろ姿でも気持ちを伝えられる。また、顔では平静を装っていても手や体が本音を表す、というずれを描けば、読者は人物の隠れた感情に気付く楽しみを得る。講座では、体の中を通る動きの線(アクションライン)を意識すると、姿勢の意図がまとまって伝わるとされる。
やり方
- 感情ごとに、背骨の曲がり・肩の高さ・重心の位置を決める
- 頭から足までを貫く一本の動きの線を先に引き、ポーズをまとめる
- 相手との関係は体の向き(向き合う・そらす)で示す
- 顔と体に別の感情を与え、本音と建前のずれを表す
使いどころ
ロングや後ろ姿のコマ、台詞のない間、感情を抑えている人物、群衆の中で一人だけ違う気持ちを見せたい場面。感情の強い台詞の直前や直後に、全身の姿勢だけで気持ちを見せるコマを置くと効果が高い。
やりすぎ・失敗
棒立ちのまま顔だけ変えると芝居が薄い。逆に全コマで大きな身振りをさせると、舞台じみて落ち着かない。解剖的に無理な姿勢は、意図がないと描き損じに見える。資料やポーズ集で確かめる。
AIコミックでの使い方
発注書で「肩を落とし背中を丸め、両手はポケット、重心は右足」と体の部位ごとに書く。感情名だけだと棒立ちで出力されやすい。立ち姿の人物をコマ間で一致させるため、姿勢の指定と服装の固定描写を分けて書くと調整しやすい。
この技法を使ったAIコミック
まだありません。
出典
- Expressive Anatomy for Comics and Narrative(W. W. Norton, 2008)
身体の文法(body grammar)を扱うEisnerの技法書
- Comics and Sequential Art(Poorhouse Press, 1985)
表現解剖の章が後に独立した一冊へ発展したという経緯
- キャラクターに命を吹き込むポーズの描き方
アクションラインで動きと方向をまとめるポーズの描き方