世界観
世界観 ― 終わらなかった遊戯「アルカ」と、外の時間
九年続いた仮想世界の遊戯「アルカ」。街と、下へ降りる迷宮(百二十層と言われているが、誰も確かめていない)。サービス終了の午前三時を過ぎても世界は消えず、戻る手段が効かない。外では身体が眠っている。この作品だけの仕組みを、既存作品の用語を使わずに決めた。
遊戯「アルカ」
- 九年前に始まった仮想世界の遊戯。街が一つと、街の下に掘られた迷宮がある。迷宮は百二十層と言われているが、誰も底を確かめていない。最盛期には数十万人がいた。終わる年には数千人
- 身体ごと入る。入っている間、外の身体は眠っている。一晩に四時間まで、と決まりで定められていた(外の身体を守るため)
- 遊戯の中の言葉:「降りる」(迷宮へ行く)/「戻る」(外へ出る)/「層」/「街」/「灯」(街に戻る目印)。数値の表示、技の名前、階級の呼び名は、この作品では出さない。強さは「慣れ」と「身体」で書く
サービス終了の夜
- 終了は告知どおり、毎週の保守と同じ午前三時。三時に「戻る」が全員に効くはずだった
- 効かなかった。街の灯は消えず、迷宮の扉も閉じない。「戻る」を試みても、身体が動かない
- 外の身体は眠り続けている。閉じ込められた側からは、外で何が起きているかは分からない。分からないまま、日数だけを数える(一日一話ではなく、一話の中で数日が過ぎる)
- 街には運営の人間が一人だけ残っている(第8話)。その人も戻れない
迷宮
- 九年で踏破されたのは四十層まで。四十一層から下は、公の地図が無い(ソウだけが八十層まで描いている。第7話)
- 層ごとに「街」がある層(十層ごと)と、無い層がある。街のある層では眠れる。無い層では眠れない(眠ると灯に戻される)
- 迷宮の中で倒れると、街の灯に戻される。現実で死ぬ仕掛けは無い。代わりに、灯に戻された回数だけ、外の身体が「眠りが深くなる」(ハルナの推測。第3話)
- 全員を外へ戻す「大灯」は底にある、と誰もが信じている。実際は十層ごとの街の灯が鎖のように連なっていて、どこか一つが消えると「戻る」は全員に効かなくなる。第12話で、八十層(底に見える偽の底)に「一人分の出口」が見つかる
外の時間
- 五人がそれぞれ外に置いてきたもの:印刷会社の明日の納品/六歳の娘の発表会/借金の返済日/夜勤明けの次の勤務/事務所の月末締め
- 外の時間は、閉じ込められた側からは見えない。読者にも見せない。見せないことで重くする
九年前
- 五人は九年前に組を作り、五年前まで一緒に降りた。四十層に着いたのは六年前。抜けた人が二人いる。一人は遊戯を辞め、一人は現実で死んだ(第6話で名前が出る)
- 街の一角に、その組の名前が刻んである(九年前に自分たちで刻んだ)
- 五十層の街は迷宮を通らなくても、街の灯から直通の裏道で行ける。閉じ込められる前から住んでいる人がいるのはそのため