各話プロット

各話プロット ― 第1巻 全12話の起承転結

第1巻12話の起承転結。集落が育つ、名を取り戻す、白紙の国の秘密、の三つの軸が第12話で重なる。一話に増える規則は一つまで。各話の冒頭に置く台帳の一節の案も添えてある。先の筋が全部書いてある。

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一話は「前半に小さな問題、後半に文面で解く、最後の一行で次を引く」。増える規則は一つまで。台帳の一節は各話の冒頭に置く(案は書きながら差し替えてよい)。

第1話 数を偽らぬ者(公開済み)

  • 決算の夜、三万二千円の差異。目を覚ますと石の穀倉。誰もいない廃村。台帳と印章
  • 夕方、追われる若い女ミレイ。約定の法則、名が落ちる罰、書記院の依頼(銀二十枚)
  • 追手三人は白地に入れず入口で三日待つ構え。遼は約定ではなく「事実だけの報告書」を書き、署名して渡す。印は押さない
  • 三人は帰る。だが獣人だけが村を一瞬はっきり見た。翌朝、その獣人が入口の石に座っている。「俺には、ここが、見える」
  • 増える規則: 約定。人: ミレイ

第2話 名を預かる

  • 台帳案: 収入 なし。支出 なし。備考 入口に、狼が一。
  • 獣人ガルは動かない。食べ物を出すと食べる。名を訊くと「団長が持っている」
  • 名の質入れの仕組み(ミレイが説明。約定で名を預けると、預かった者がその名で約定を結べる)。ガルは「生きて引き渡す」依頼に縛られており、ミレイを連れ帰れなければ団に戻れない
  • 遼は依頼の文面の「生きて」を突く。ミレイが白地で生きている限り、ガルは依頼を破っていない。そのうえで、ガルと「遼はガルの名を取り戻す。ガルはそれまで白地の数を数える」という約定を結ぶ。立会人がいないので紙切れだが、ガルは「紙切れでいい」と言う
  • ガルが薪を割り始める。台帳に「人、三」。引き: 谷の向こうに煙が三本
  • 増える規則: 名の質入れ。人: ガル。人数: 三

第3話 三十人

  • 噂を聞いた流民が来る。二十七人。名を持たない者ばかり
  • 食料の台帳。井戸が一つでは足りない。誰が水を汲み、誰が分けるか
  • 最初の「集落の約定」を遼が文面にする。盗まない・数を偽らない・出て行くときは言う。全員が印(しるし)を書く。名は書けない
  • トビ(脱走兵)が料理番になる。数字が苦手で泣く。引き: 行商人の荷馬車
  • 増える規則: 集落の約定。人: トビ。人数: 三十

第4話 升と秤

  • 行商人に塩を買う。升が小さい。騙された
  • 自分たちの升と秤を作る。目盛りを誰が決めるか
  • 目盛りを約定で固定する(「この升を一升とする」)。行商人に同じ升で計り直させる
  • 度量衡ができる。引き: 「立会人がいない約定は紙切れだぞ」と行商人が笑う
  • 増える規則: 度量衡。人数: 三十二(行商人の連れ二人が残る)

第5話 印章師

  • 紙切れだと判明。遼の石印を押しても効かない(血筋の印)
  • 谷向こうの村に追放印章師シェラがいる。飲んだくれ。「紙切れを国にするのはお前の仕事だ」
  • 遼はシェラに「印を押してくれ」ではなく「押さなくていい、帳簿を見てくれ」と頼む。シェラは帳簿の数字が合っていることに驚く
  • シェラが立会人になる。最初の本物の約定(集落の約定を結び直す)。引き: シェラの印章の模様が、遼の石印と同じ
  • 増える規則: 立会人。人: シェラ。人数: 三十三

第6話 徴税官

  • 帝国徴税院のドレンが来る。白地への課税
  • ドレンには村が見えない。ぼやけている。だが帳面は持っている。遼はその帳面の帝国文字が読めない(台帳の文字は読めるのに)。小さく置く
  • 遼は「課税の根拠となる約定が無い」ことを文面で示す。この土地は帝国のどの約定にも載っていない。ドレンは法に忠実なので引く
  • だが記録には残る。ドレンの帳面の罫は、遼の台帳と同じ。引き: 初雪
  • 増える規則: 帝国の法。人: ドレン。人数: 三十三(シェラを含む)

第7話 冬

  • 飢えと病。薬は無い
  • 配給の台帳。誰が何を何日食べたかを全員に見せる。不満は出るが、嘘は出ない
  • それでも二人死ぬ。遼は台帳に、名を持たない者の名を書く。この世界で初めて。トビが遼の左足の靴を作る
  • 三万二千円の差異を思い出す。「合わない数字は誰かの嘘」と言えなくなる夜。引き: 春の行商人が「札」の話を持ってくる
  • 増える規則: 死と台帳。人数: 三十一(二人死ぬ)

第8話 約定札

  • 物々交換の限界
  • 「集落が必ず引き取る」と書いた札を通貨にする。信用とは何か
  • 白い頁の残りとボールペンの最後のインクで原本を書く。札の裏に遼だけが知る小さな数字
  • トビが初めて数字を覚える。引き: 穀倉の床下から階段
  • 増える規則: 通貨。人数: 三十八(春に流民が七人)

第9話 地下文書庫

  • 廃墟の地下から旧国の文書
  • 建国の約定の写しと、破った理由の断片。滲んだ署名の主
  • 書いたのは最後の印章師で、シェラの縁者。名を落とされながら書いた。「数を偽らぬ者を」は遼を呼んだ約定。遼が文字を読める理由
  • シェラが初めて素面で印を押す。引き: 谷に傭兵団の旗
  • 増える規則: 白紙の国の秘密

第10話 ガルの名

  • 傭兵団長バルトが来る。武力では勝てない
  • バルトの約定の文面。「ガルの名を預かる」の期限と対価
  • 文面の穴(対価が「銀」ではなく「食」で書かれている。集落の約定札は食と引き換えられる)。遼が札でガルの名を買い戻す
  • ガルが目を閉じて食べる。引き: 集落で盗みが起きる
  • 増える規則: 文面の戦い。人数: 四十四(団を抜けた獣人六人がガルに付いてくる)

第11話 最初の裁判

  • 集落内で初めての盗み。約定札の偽物
  • 誰が裁くか。遼が裁けば遼の国になる
  • 遼は裁かず、「裁く約定」を集落に結ばせる。札の裏の数字で真贋を分ける
  • 法ができる。引き: ドレンから手紙
  • 増える規則: 法

第12話 名乗り

  • 集落に名を付ける。何と呼ぶか、全員で決める
  • 帝国に「存在」を認めさせる第一歩として、ドレン経由で徴税院に「課税できない土地の届け」を出す
  • 届けは最後の白い頁にミレイの筆で。遼はシェラに立てられた仮の立会人として、初めて印を押す
  • 帝国の記録に、この地が初めて載る。届けを受け取ったドレンが、徴税院の帳面の罫が白紙の国の台帳の写しから作られたものだと遼に告げる。台帳に「人、五十一」。引き: 書記院が動く
  • 増える規則: 国の芽。人数: 五十一(谷向こうの村から七人が移る)