登場人物
登場人物 ― 遼、ミレイ、そして第1巻の顔ぶれ
主人公は経理課長の井原遼(34)。数えるのが癖で、人は疑わないが数字は疑う。名を書ける唯一の仲間ミレイ・ハルン(22)、名を握られた狼系獣人の傭兵、追放された印章師、脱走兵の料理番、帝国の若い徴税官、傭兵団長。全員18歳以上。
第1巻の主要人物。初登場の話も書いておく(まだ本文に出ていない人物は、話数だけ先に決めてある)。集落の住人(名前のある脇役)は話ごとに増やし、この表に足す。全員18歳以上。
主人公 ― 井原 遼(いはら りょう)34歳
- 職: 現代日本の中堅建材会社の経理課長 → 異世界の帳簿係
- 口上(宣伝用): 「剣も魔法もない。俺がこの世界で最初に使った武器は、一枚の紙だった」(本文の一人称は「私」。この言い回しは宣伝文のもの)
- 性格: 冷静な現実主義者。「自分が今の状況にあまり動揺していないことに気づいて、そちらのほうに少し動揺した」。人は疑わないが、数字は疑う。「合わない帳簿は、誰かがどこかで嘘をついている」が信条
- 癖: 数える。落ち着きたいとき、家・井戸・畑の段など、目に見えて数えられるものを数える。数えられないものを数え始めるのは疲れている証拠
- できないこと: 剣も魔法も使えない。走るのも遅い
- できること: 文面を読む目と、人に約束を守らせる段取り。やることが決まっている作業は落ち着く(ミレイの捻挫の応急処置も迷いなくこなす)
- 外見: 見慣れない布地の上着(現代のスーツ)。右足は元の世界の革靴、左足は転移時に失い、廃村で見つけた大きさの合わない古い革靴に麻袋の切れ端を詰めて履いている
- 持ち物: 会社の備品の青い軸のボールペン(転移の瞬間も握っていた)。廃村の役場で拾った革表紙の台帳(この世界の文字なのに読めて、書ける。理由は未説明)。石の印章(木の枝とも河の流れともつかない模様。印章師の印。まだ押していない)
- 来歴: 独身。実家は遠く、連絡は年二回。会社の机に私物がほとんど無い。九月の決算期、夜十一時に一人で三万二千円の帳簿の差異を突き合わせていて、気づけば異世界の石の穀倉にいた。「帰る理由が薄い」ことを自嘲でしか語らないが、その身軽さが未知の世界での落ち着きにつながっている
- 成長の軸: 「帳簿を正す」人から、「帳簿に載る人を増やす」人へ
第1巻の主要人物
| 名 | 年齢 | 立場 | 声・癖 | 遼との関係 | 初登場 |
|---|---|---|---|---|---|
| ミレイ・ハルン | 22 | 帝国書記院の元見習い。父(書記)が名を落とされ、本人も追われている。髪は暗い赤 | 早口、皮肉、字が美しい。怒ると敬語になる | 名を書ける唯一の仲間。遼の「文面」を紙にする手 | 第1話 |
| ガル | 30前後 | 狼系獣人の傭兵。名を傭兵団長に質入れされている | 無口。食べる。約束は必ず守る(守らされているのではなく、性分) | 最初の約定の相手 | 第1話(名は第2話) |
| シェラ・ノーム | 64 | 追放された印章師。飲む。毒舌 | 「紙切れに印を押すのが仕事だ。紙切れを国にするのはお前の仕事だ」 | 立会人 | 第5話 |
| トビ | 19 | 帝国軍の脱走兵。料理番 | 明るい。すぐ泣く。数字が苦手 | 集落の台所。読者の目線 | 第3話 |
| ドレン | 27 | 帝国徴税院の若い官僚。有能で法に忠実 | 丁寧。冷たくない。法に負けたら引く | 第1巻の対立者。後に最も厄介な理解者 | 第6話 |
| バルト | 45 | 傭兵団長。獣人の名を束ねて富を得ている | 陽気。残酷 | ガルの名を握る | 第10話(名は第2話) |
第1話に出た、名前の無い人物
- 追手の傭兵三人(人間二・獣人一)。獣人がガル。人間の二人は第2話で引き返す
- 三百年前に死んだ白紙の国の書記。台帳に『この地に、数を偽らぬ者を。』と残した。署名は滲んで読めない