伏線表
伏線表 ― 台帳の一行から、建国の約定まで
どの話で仕込み、どの話で回収するかの台帳。第1話で置いた十五本(台帳の一行、読める文字、押していない印章、滲んだ署名、獣人にだけ見えた村、白い頁の残り、左の靴、青いボールペン…)を第1巻の終わりと第2巻・第3巻に振り分けてある。先の筋が全部書いてある。
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伏線は「置いた話」「回収する話」「状態」で管理する。回収した話が公開されたら状態を「回収済み」にする。回収せずに終わる伏線を作らない(読者は覚えている)。
第1話で置いたもの
| No | 伏線 | 置いた話 | 回収する話 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 台帳の最後の一行『この地に、数を偽らぬ者を。』 | 1 | 9(誰が・なぜ書いたか。最後の印章師で、シェラの縁者)→ 第3巻(遼を世界の外から引き寄せた約定そのものだった) | 仕込み済み |
| 2 | 遼がこの世界の文字を読め、書ける。理由は未説明 | 1 | 9(約定に呼ばれた者は、その約定の言葉を読める。読めるのは「呼んだ側の文字」だけ。帝国の別系統の文字は読めない、と第6話で先に小さく出す) | 仕込み済み |
| 3 | 石の印章。「まだ押していない」 | 1 | 5(立会人の血筋でなければ印は効かないと判明。遼が押しても紙切れ)→ 12(シェラが遼を「仮の立会人」に立てる約定を結び、遼が初めて押す) | 仕込み済み |
| 4 | 署名が滲んで読めない | 1 | 9(滲んだのは涙ではなく、名が落ちる途中で書かれたから。名を落とされながら書いた最後の文字) | 仕込み済み |
| 5 | 獣人(ガル)だけが村を一瞬はっきり見た | 1 | 2(名を質に入れられた者は、帳簿に「自分として」載っていない。だから見える。ガルが白地に入れる理由) | 仕込み済み |
| 6 | 白い頁の残り枚数(「まだ何枚か」) | 1 | 8(約定札の紙に使う。残りが減る)→ 12(最後の一枚で徴税院への届けを書く。以後は集落で漉いた紙) | 仕込み済み |
| 7 | ミレイの父が何を破ったか | 1 | 第2巻(書記院の「見習いは師の名で約定を結ぶ」という慣行に逆らい、自分の名で弟子の借金を肩代わりした。破ったのではなく、書記院が破らせた) | 仕込み済み |
| 8 | 三万二千円の差異 | 1 | 7(死者を数える夜、遼が「合わない数字は誰かの嘘」と言えなくなる)→ 第3巻(差異は横領ではなく遼自身の転記ミスだった、と気づく。人は疑わないが数字は疑う信条の裏返し) | 仕込み済み |
| 9 | 左の靴に麻袋を詰めている | 1 | 7(冬。トビが革を継いで靴を作る。集落が遼を「数えた」最初の印) | 仕込み済み |
| 10 | 青い軸のボールペン | 1 | 8(インクが切れかける。最後のインクで約定札の原本を書く)→ 12(届けはミレイの筆。遼のペンはもう書けない。「俺の道具は、もう紙だけだ」) | 仕込み済み |
| 11 | ミレイ「あなたの名は、この世界の帳簿に無い」 | 1 | 6(帳簿に無いから課税されない=法の穴)→ 第3巻(帳簿に無い者だけが建国の約定を書き直せる) | 仕込み済み |
| 12 | 傭兵は名を書けない。名は団長が握っている(「長くなるから今はいい」) | 1 | 2(名の質入れの仕組み)→ 10(バルトの約定の文面の穴) | 仕込み済み |
| 13 | 書記院の依頼「生きて引き渡す」「引き渡しと同時に銀二十枚」 | 1 | 2(「生きて」の一語が傭兵の手を縛る。遼が突く)→ 第2巻(依頼を出した書記院の人物) | 仕込み済み |
| 14 | 遼の「数える」癖。数えられないものを数え始めるのは疲れの印 | 1 | 7(死んだ二人を数える。台帳に名を書く) | 仕込み済み |
| 15 | 井戸が一つ。台帳に「人、一」 | 1 | 3(三十人になり、水が足りない。最初の集落の約定は水から)→ 12(「人、五十一」で第1巻を閉じる) | 仕込み済み |
第2話以降で置くもの(予定)
| No | 伏線 | 置く話 | 回収する話 |
|---|---|---|---|
| 16 | ガルは食べるとき目を閉じない | 2 | 10(団長の前で初めて目を閉じて食べる。名が戻った印) |
| 17 | シェラの印章の模様が、遼の石印と同じ「枝とも流れともつかない模様」 | 5 | 9(同じ血筋の印。白紙の国の印章師の家) |
| 18 | ドレンの帳面は遼の台帳と同じ罫 | 6 | 12(帝国の徴税院の帳面は、白紙の国の台帳の写しから作られた) |
| 19 | 帝国は白地に課税できない | 6 | 12(課税できない土地の届け。帝国の記録にこの地が載る) |
| 20 | 約定札の裏に遼が書いた小さな数字 | 8 | 11(裁判で、札の真贋を数字で見分ける) |
長期の到達点(読者には見せない)
- 第2巻: 帝国との交渉。通貨と裁判の成熟。書記院との対立。獣人たちが自分の名を書く。ミレイの父の名を取り戻す
- 第3巻: 建国の約定を書き直す。白紙の国が名を取り戻す。遼は王にならない。帳簿係のまま
- 最終的な問い: 「約束で縛る」ことと「約束で守る」ことは同じか