上司と部下
職務上の権限差が前提としてある関係性。評価する側とされる側という緊張が、私的な信頼にどう変化していくかが読みどころになる。
職務上の指揮命令や評価の権限に差があることが、最初から前提として存在する関係性である。恋愛関係に発展させる場合も、単なる社内恋愛として片づけず、評価する側とされる側という非対称そのものが、私的な感情の芽生えをどう複雑にするかを描くことが要になる。部下が上司の私的な弱さを知ってしまう、あるいは上司が部下の努力を誰よりも近くで見てきたといった、職務上の距離だからこそ生まれる特別な視点がこの関係性の強みになる。
この関係性を扱う際は、権限の非対称が悪用されない誠実さを丁寧に描くことが、読み手の信頼を得る上で欠かせない。部下の側が萎縮せず対等に意見を言える関係として描くか、逆にその非対称ゆえの葛藤そのものを主題にするかで、物語の方向性が大きく変わる。
型のバリエーション
- 厳しい上司の指導の裏にある不器用な配慮に、部下が少しずつ気づいていく型。
- 部下の実力が上司を上回り、評価する側とされる側の力関係が逆転していく型。
- 異動や退職を機に、上司と部下という立場を離れて対等な関係を結び直す型。
- 上司の過去の失敗を知った部下が、その人物像を見直す型。
- 長年連れ添ってきた上司と部下が、互いになくてはならない存在になっていく型。
筋書きの例
- 誰にも心を開かない冷徹な上司の下で働き続けてきた部下が、深夜の残業中にふと漏らされた本音から、上司の過去に触れることになる。
- かつて厳しく指導された新人が、数年後には上司の右腕として認められるまでに成長し、二人の関係は指導する側とされる側から、互いを頼る対等な関係へと変わっていく。
- 定年間近の上司と若手部下が、最後のプロジェクトを共にする中で、これまで言えなかった本音を初めて交わす。
組み合わせやすい題材
舞台の「深夜の職場」と組み合わせると、二人だけの時間が生まれる自然な状況を作りやすい。関係性の「年の差」とも重なりやすく、年齢差と職位差が同時に存在する非対称な関係を丁寧に描ける。