たけくらべ
- 作者
- 樋口一葉
- 発表
- 1895年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
吉原に隣接する下町を舞台に、遊女の妹・美登利と僧侶の子・信如ら子どもたちの誇りと淡い想いが、大人の世界に取り込まれる直前の一瞬として描かれる中編。1895年から翌年にかけて発表された。
1895年から1896年にかけて発表された。子ども同士の意地の張り合いと恋とも呼べない感情を描きながら、それぞれの家業と身分がすでに子どもたちの将来を決めてしまっていることを、雨の日の格子戸の場面のような沈黙の演出で伝える。祭りの喧噪から一転して大人になることの寂しさへ落ちていく終盤は日本文学屈指の余韻とされ、口語文が主流になる直前の雅俗折衷文の到達点としても評価が高い。
この作品が使っている物語の型
- 幼馴染出会いの経緯を説明する必要がないほど長い付き合いを持つ関係性。「今さら」という気安さと「今さら」という踏み込みにくさが同居する。
- 身分違い立場・階級・世界の違う二者が惹かれ合うテーマ。障害が外側(周囲の反対)にあるか内側(本人の引け目)にあるかで、物語の温度が大きく変わる。
- 沈黙の愛情言葉にしないまま示され続ける愛情を描くテーマ。台詞で説明せず、行動の積み重ねだけで伝わる愛情を描き切れるかどうかが書き手の技量を分ける。