潮騒
- 作者
- 三島由紀夫
- 発表
- 1954年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
伊勢湾の小島・歌島を舞台に、若い漁師の新治と海女の初江が、身分の差と島の噂に阻まれながら結ばれるまでを描く長編。ギリシャの古典に想を得た、三島作品では例外的に明朗な恋愛小説。
1954年に刊行された。ギリシャ旅行で得た古代的な美の理想を、日本の離島の共同体に移し替えて書かれた作品で、疑いや屈折を知らない健康な恋愛を、海と労働の描写とともに肯定的に描き切っている。嵐の夜の焚火の場面の緊張と純潔、力試しによって恋の資格を証明する結末など、素朴な物語の型を意識的に採用しており、島という閉じた世界がそれを可能にする舞台として機能している。映画化も繰り返された。
この作品が使っている物語の型
- 身分違い立場・階級・世界の違う二者が惹かれ合うテーマ。障害が外側(周囲の反対)にあるか内側(本人の引け目)にあるかで、物語の温度が大きく変わる。
- 離島本土からの物理的な距離が、そこにいる人々の生活と関係を濃密にする舞台。船の便数という制約が出入りの自由を制限し、閉じた共同体の説得力になる。