舞姫
- 作者
- 森鴎外
- 発表
- 1890年
- 国
- 日本
- 媒体
- 小説
ベルリンに官費留学した青年太田豊太郎が、踊り子エリスと恋に落ちながら、立身の道と愛の間で引き裂かれる短編。雅文体で書かれた告白の形式を持ち、日本近代文学の出発点の一つとされる。
1890年に発表された。国家に選ばれたエリートである自分と、一人の人間としての自分の分裂を初めて正面から書いた小説とされ、恋人を捨てて帰国する結末を、美化も断罪もせず悔恨の告白として差し出す構成が読者に判断を委ねる。船中で過去を振り返る額縁構造、心情を押し流すような格調高い文語文とあわせて、近代的自我の苦しみを描く日本文学の系譜がここから始まったと位置づけられている。
この作品が使っている物語の型
- 身分違い立場・階級・世界の違う二者が惹かれ合うテーマ。障害が外側(周囲の反対)にあるか内側(本人の引け目)にあるかで、物語の温度が大きく変わる。
- 裏切り信頼していた相手に裏切られる、あるいは自分が裏切る側に回るテーマ。裏切りの動機に必然性を持たせられるかどうかが、物語の説得力を左右する。