一九八四年
Nineteen Eighty-Four
- 作者
- ジョージ・オーウェル
- 発表
- 1949年
- 国
- イギリス
- 媒体
- 小説
全体主義国家オセアニアで真理省に勤めるウィンストンが、記録の改竄という職務の中で体制への疑いを育て、禁じられた恋愛と思想に踏み込んでいく長編。監視社会を描くディストピア小説の最重要作。
1949年刊行。過去の記録を書き換え続けることで現在を支配するという着想は、事実そのものが権力の産物になり得るという洞察であり、「ビッグ・ブラザー」「二重思考」など本作の造語は現実の政治を語る一般語彙になった。禁じられた愛が抵抗の形式となり、その愛を裏切らせることが体制の最終的な勝利として描かれる構成は、個人の内面までを支配の対象とする全体主義の怖さを物語の設計自体で示している。
この作品が使っている物語の型
- 禁じられたもの掟や法、身分、道徳によって手を出すことを禁じられた対象に惹かれていく人物を描くテーマ。禁止の正当性を丁寧に描くほど、それを踏み越える重みが増す。
- 断罪の場多くの目がある席で、罪や不正が明かされる舞台。裁定、査問、公開の集まりなど形は様々だが、説明台詞の羅列に陥りやすく、場を動かす手続きと視線の配置を設計しておく必要がある。
- 裏切り信頼していた相手に裏切られる、あるいは自分が裏切る側に回るテーマ。裏切りの動機に必然性を持たせられるかどうかが、物語の説得力を左右する。