モモ
Momo
- 作者
- ミヒャエル・エンデ
- 発表
- 1973年
- 国
- ドイツ
- 媒体
- 小説
円形劇場の廃墟に住み着いた不思議な少女モモが、人々から時間を奪う灰色の男たちに独り立ち向かう物語。人の話を聴く力だけを持つ主人公を通じ、効率に追われる現代人の時間の使い方を問う寓話的長編。
1973年に刊行された。時間の節約を勧める灰色の男たちの正体が、節約された時間を吸って生きる泥棒だったという設定は、効率化がもたらす生の空洞化を子どもにも分かる像に変換した寓話の傑作である。特別な力を持たず、ただ相手の話を全身で聴くことしかできない主人公の造形が本作の核心で、聴くことが人を癒やし共同体を作るという主張になっている。時間とは生きることそのものであるという命題は、刊行から半世紀を経てむしろ切実さを増している。
この作品が使っている物語の型
- 時計時間の経過を可視化し、止まる・遅れる・狂うという異常そのものが物語の兆しになるモチーフ。誰かの形見としての時計は、失われた時間の象徴にもなる。
- 見知らぬ親切利害のない赤の他人から差し出された、名も告げない小さな親切が人物の人生に長く残り続ける様を描くテーマ。返しようのない恩をどう受け止めるかが核になる。